多井隆晴と共有する「時間」
文・カイエ【火曜担当ライター】2026年1月6日
2025年、麻雀における「持ち時間」について一石が投じられた。
最強戦において、麻雀クロックが導入されたのだ。
麻雀最強戦 新ルール:持ち時間制の導入について|近代麻雀ノート
リンク先の冒頭で表明されている通り、これは「競技性のさらなる向上を目的とし」た「持ち時間制」の導入である。
言うまでもなく、将棋や囲碁においては「持ち時間制」がすでに存在する。
というより、ゲームのルールを変更できない以上、棋戦による特色は、この「持ち時間」の長短によって決められている。早指しや、封じ手を経ての2日制など、各タイトルによって時間の設定が異なっているのだ。同一ルールでありながら、環境設定をいじることで差異をうみだしているのだ。
一方、麻雀というのは実に特殊なゲームで、団体やタイトル戦によってルール自体が違っている。赤ドラの有無や偶然役の排除などがその一例なのだが、地域によって採用される役も違うし、そもそも三人でも四人でも打つことが可能だ。その代わりに、時間で縛るという試みはこれまでほとんどなされていなかった。
頭脳スポーツを標榜するのであれば、読みや牌理への理解・数字の強さ等に加え、頭の回転の速さを競う側面があることは、ごく当然のように思える。終盤、秒読みに追われながらも、脳をフル回転させて戦う棋士の姿にこそ、AIにはない人間同士のドラマを観る者は少なくないだろう。
麻雀における「時間」の扱いは、ルールでなくマナーの問題だった。
いわゆる「長考」も、過度であったり頻繁でなければ許されていた。
しかし、それでは頭脳スポーツとしての競技性という面で不充分なのではないか。対局者に平等に与えられた「持ち時間」内でのゲームということを、もっと強調すべきではないか。そういう思想のもと、おそらく麻雀クロックは試験的に導入された。
そして昨年、Mリーグにおいて、局の進行スピードに対し審判から警告が出された半荘があった。おそらくこれを境に、コメント欄では、選手の「長考」についての言及が劇的に増えたように思う。
第2試合
東家:竹内元太(セガサミーフェニックス)
南家:多井隆晴(渋谷ABEMAS)
西家:黒沢咲(TEAM RAIDEN / 雷電)
北家:勝又健志(EX風林火山)
冒頭、麻雀における持ち時間制について取り上げたのには、ふたつ理由がある。
ひとつは、この日の第1試合が、2時間半=実に20局を数えるロングゲームになったからだ。
といっても、選手が切るのが遅かったとか平均より長考が多かったということではない。単に親の連荘が多く、かつ流局も5局あり、試合展開自体が長引いたに過ぎない。
ちなみにこれまでのMリーグ記録は3時間28分で、その半荘の主役は今局の西家の席に座る黒沢咲その人だ。
もうひとつの理由は、多井隆晴の局後の検討配信での「長考」への言及が興味深かったからだ。
東1局
その多井が先制リーチからリーチ・ツモ・タンヤオ・ドラ・裏の2000・4000のアガリ。
まずは幸先の良いスタートを決める。
東2局
すでに
と
とをポンしている、ピンズの染め手模様の元太に対し、多井が少考する。
自身も満貫が望める勝負手で、元太の手からはまだ
が余ったくらいでテンパイかどうかも分からない。ここは思い切りよく
を切った。
その決断が功を奏して、タンヤオ・赤・赤の2000オールの加点。
東2局1本場
多井が止まらない。
最高の入り目で3面張リーチをすると、
あっさりとリ-チ・ツモ・タンヤオ・ピンフ・赤の4000オールで、更に加点に成功。
実に3連続の和了で持ち点は50000点を突破し、早くも独走態勢に入る。
東3局
前局、多井の連荘を阻止する躱し手を決めた勝又。
好調のチームにあって、まだトップが1回しかない軍師が、巧妙な罠を張り巡らせる。
この手から
切り!
いくらピンズのホンイツで5ブロックが出揃っているとはいえ、2度受けの
を固定する、思い切った先打ち。
その後、首尾よく急所の
が鳴け、
さらに
も鳴けて、高目
なら一気通貫も付く満貫のテンパイ。
この最終形から逆算して、手を組み立てていた。
元太からもリーチが入って、多井の手番。
御覧のように、全員が異なるピンズのスジ待ちという珍しい状況。
しかし一発目に
は切り難く、















