熱論!Mリーグ【Mon】
涙もろいヒットマン
松本吉弘が追い求めた
“チーム”
渋谷ABEMASの一勝
文・ゆうせー【月曜担当ライター】2019年10月28日
この日渋谷ABEMASは、
社内パブリックビューイングを行っていた。
1戦目は、
今シーズン絶好調の白鳥がトップを獲得。完全復活をアピールした。
その白鳥から、
“頼むよ”
とバトンを渡されたのは、この男。
卓上のヒットマン、松本吉弘。
2戦目
東2局
親番の松本7巡目、
引き入れたのは待望のだ。
松本は場を注視してから、
そっとを河に並べた。
役牌が、まんべんなく切られているこの場況。中張牌が余ってきている対面の内川と上家の小林の河にはスピード感がある。
松本の手でとを両方使い切ることは出来ない。
自分がアガりたいからこそ他家が攻めてきたときのことを想定し、攻め返すためにも余剰牌を減らしてスリムに構えた、いい一打だ。
中盤のバランスをややディフェンス寄りに修正してきたことが感じられる打だが、思い浮かぶのは前回の苦い放銃だ。
~前回の回想~
ABEMASファンにとっては思い出したくもない、この18000。
松本はここからを打ったのだが、この瞬間だけを見れば避けようのない放銃だ。
だがその1巡前、
松本はここから2枚切れのを切っている。自分の手にはドラが1つもないうえ、危険牌で溢れかえっている状態だ。
受けを活かすのなら、
を切っておけばを引いてもピンズは多面待ちになるのでロスは少ない。
打点的にホンイツを狙うなら、切るのが遅れれば遅れるほど危険度は上がるので、ここで思い切ってを払う手順もある。
ホンイツもターツも両方追う、という狙いもわかるが、的確な手順で他家が攻めてくるMリーグでは、中盤でディフェンス力を下げるのは致命傷につながりかねない。
ここはを残すのがよかったと思う。
~回想終わり~
松本は、この胸がえぐられるような経験を糧として、中盤の手組を変えてきたのではないだろうか。
改めて手牌を眺めてみると、を切ってしまった場合には対面や上家からリーチが来たときに押し返すのが厳しくなってしまうことがわかる。打がベストなバランスだと感じる。
このとき、
内川はイーシャンテン。
小林にいたっては、
なんとテンパイが入っていた。松本の速度読みは合っていたのだ。
悔しくて涙が溢れた、それだけでは終わらない。流した涙を自分の強さに変えて、松本は今日の戦いに挑むことが出来ている、そう感じた。
松本の締まった手組が場の雰囲気にも影響したのだろうか、誰も抜け出せない緊迫した展開でゲームが進んでいく。
場が動いたのは南2局だった。
ここまで辛抱を続けてきた松本の配牌、