ごめんな息子

「もう離婚だわ。わたし実家帰ってもいいから」

妻が言った。

 

事の起こりはまたも朝の喧嘩だ。

前日、麻雀物とは別の本の企画があり、それが夫婦関係を良くするための本で、しかも奥さん用のものだったので、本のタイトル案を妻の友達にも聞いてもらいたくてお願いしたのだ。

もともと10個くらいあるタイトル案のうち、どれがいいか。

男目線だと「夫の操縦法」なんて良さそうじゃんと思っていたけど、もしかして三文字熟語って女性からすると重すぎる?など。

妻は幼稚園や小学校のママ友がたくさんいるのでその中で数人にグループラインで聞いてもらえばいいだろうと。

テーマがテーマなのできっとそのラインも盛り上がるんじゃない?出版の仕事ってすごいねなんて言ってくれる人もいたりして

なんて思っていた。

ただ、昨日は家に着くのが遅くもう妻は寝ていたので、今日の朝妻にアンケートの結果を聞くことになったのだ。

実はそれが今日の朝11時からの会議で出す企画の一つだった。

もちろんタイトルは後で変わるが、できるだけ企画を通すためにも一番女性が納得してるタイトルをつけたい。そう思い聞いたのだが、

「ちょっと待って。たくさん聞いたからまだまとめきれてないの」

「あーそっか」

「あと、こうた送らないといけないから」

横では幼稚園の服に着替え中の5歳の息子がいる。

忙しそうだ。

「わかった、じゃあこうた送った後ね」

「すごいたくさん聞いたよ。でも私昨日することあったじゃん、だから見れてないのもあって、疲れて寝ちゃって」

「えーそんなにたくさん。分かった」

「本当に昨日大変だったんだよ」

昨日の幼稚園での大変話を聞きながら、僕は少し焦れた。

早く企画書を作りたい。正確な票数なんてどうでもよくて、これとこれが多かったくらいの感じで答えだけ知りたいだけなのに。

「どれが多かったかだけでも分からない?」

そう言うと、妻もそれを感じたのだろう。スマホのラインを開いてくれた。

見せてもらうと、確かに色んな人に聞いていた。

一つのグループラインだけでなく、5、6個のグループや、さらに個人など。

一個一個クリックして、さらに別の話もしてるので指でスクロールしてさかのぼる。答えを見るのに時間がかかる。

なんとなく、4番が多かったので、僕はそれをつけて作ろうとした。

が、妻は

「ちょっと待ってね。帰ってからちゃんとまとめるから」

「いや、いいよ。十分。もう11時の会議に出すし、まだ出すって決まった本じゃないから」

「えっ、もう出る本のタイトルかと思ったよ。私すごい大変だったんだけど。何人も聞いて」

「うん、そんなに聞かなくて良いのに。

適当に4,5人でいいのに。なんとなくが知りたかっただけだから」

「え、それならそう言ってよ!4,5人でいいって。私すごい大変だったんだよ!今日必要ってのも今初めて聞いたし」

 

こっから先はもう言い合いだ。そして最後は……

詳しくは書かないが、妻が激しくモノにあたり大きな音がなり

息子が「ママ怖いーー」と泣いた。

冒頭の「もう離婚するから」もここで出た。

会議

 

だが、今日は時間が間に合わないため家でズーム会議に出席。

妻は息子を幼稚園に送って一度帰ってきたが、何も言わず出かけて行った。僕が家を出る昼の1時にも戻ってこなかった、どこへ行っていたかは今も知らない。

11時からのその会議では、本の企画は企画力の部分で足りない部分が多かったのでタイトルうんぬんではなく内容の部分であっさり落ちた(僕も納得)。

夫婦関係をよくするための本なのにそのタイトルのことで夫婦で大喧嘩するってのは良くない。

ま、何の本だろうが今回は喧嘩していたし企画の練り直しだ。

帰宅

夜9時に家に帰った。

朝、怖がらせてしまったので、どうしても息子と触れ合っておきたかった。

息子は姉と大はしゃぎでテレビゲームをしていたが僕が帰るとゲームをやめて、僕とだるまさんがころんだのミニバージョンみたいな遊びを5分くらいやって、その後妻と風呂に入った。

息子がいつも通りの元気で笑顔だったので安心した。

ただし僕は妻とは口をきいてない。まあそれはいいや。

風呂から上がった息子と今度は「おばけずかん」のカードゲームをした。トランプみたいなもので息子はここ2か月くらい僕とそれをやることが超絶ブームだ。

20分くらいやっただろうか、今度は僕が風呂、その後娘が引き算の暗算を小学校でやってると言うので68-20=、とか出してると息子も入ってきて、姉と同等クラスのスピードで答えを出し、二人で競争させて遊んだ。

その後、妻が二人の歯を磨き、自分の髪を乾かしている間に、僕が子供二人を寝る部屋へ行かせた。

息子が久しぶりに「パパ運んで」というので運んだ。

抱き心地がいい。

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