最強戦実行委員長の金本です。
今日は9月6日に行われた麻雀最強戦のオーラスでの事件について書いてみようと思います。
事件と言うと大げさでしょうか。
説明しますと
オーラス、1000・2000をツモれば逆転優勝の高宮プロが残りハイテイを一回残して、役なしドラドラのテンパイ、ただしリーチに危険なを切れば、という状態でした。
実況の日吉さんも、解説の片山さん梶本さんもを切るしかない、と言ってました。オリたら間違いなく負けですからね。
しかし高宮プロは長考の末、オリを選択。
結果的にハイテイはでもでもなかったのでアガリ逃しにはなりませんでしたが、
「1巡前にあきらめてもいいのか」
という議論は残りました。
コメント欄などでも書かれているように、これはを押すべきだったと思います。
高宮プロが閉会式で言った「(勝負を)決めちゃうことになる」という気持ちは、今後は捨てるべきでしょう。
ただ、今更そんなことを言うために書いてるのではありません。
なぜ高宮さんがそういう気持ちになったのか、そこを考えないと面白くないでしょう。
麻雀最強戦は、多くの人が気合を入れて参加してくれてますし観てくれてもいます。先日北海道最強戦をYouTubeで観ましたが、アマチュアで最強位を目指す人の熱意は僕が言うのもなんですが怖いくらいです。競技麻雀好きの頂点にある大会なので実行委員長の僕もうかつに下ネタとか言ってる場合じゃないですね。
そして、観てもらってるプロの立場としては、観られているという意識が強ければ強いほど、観てくれてる人に納得した勝負を届けたいと思うものです。高宮プロは出場プロの中でもその最たるもので、自分が勝つことも大事ですがそれと同じくらいファンを満足させたい、喜んでもらいたいと思って打ってるのは、画面越しに皆さん感じているでしょう。
ところで、ちょっと別の例を出します。
もし競ってるアガリ競争の二人がタンヤオで2フーロしてテンパイ気配、そこへダントツラス目のプロが残り5巡で国士無双の4シャンテン、、、、、と持っていて、それでも残り5巡あるのだから全部切るつもりで押すべきでしょうか?国士無双しかない、あきらめるのはプロじゃない、なんて言って押すのは、僕はそれはプロじゃないと思います。
アマチュアの人は自由です。
でもプロは、観る人が納得しないといけないのです。
「プロならあきらめてはいけない」というのはその意味で僕は一面的過ぎると思います。
高宮プロに戻ります。
可能性の薄いハイテイでのかに賭けてを切ることが、プロかどうかは、それを観る人が納得するかどうかなんです。
そして、もしかしたら昔だったら、そんなところで危険な牌を打つことに納得しないという声が多かったかもしれません。でも今の人はむしろを勝負しない方が納得いかないのです。これは時代によると思います。
国士4シャンテンの例でも、時代によって判断は変わってくるでしょう。
麻雀を観る人は機械ではなく血の通った人間で感情があり、それぞれに自分の麻雀観というものがあり、そして麻雀が好きで好きでたまらないという共通項があります。
その人たちのどれだけを納得させられるか、観て良かった、次もこの人が出る麻雀を観たいと思わせられるか。
高宮プロが正解を探して長考したのは根源的にはそこで迷っていたのです。
そして、今回は少し視聴者の麻雀観を見誤ったのではないかと思ったのでこの記事を書くことにしました。残り1巡なら勝ちを追い求める姿を観たいというファンが多かったんじゃないかと。
もちろん僕も委員長として、これでが当たってもそれを無理スジと言うつもりはありません。
皆さんはどうですか?
オーラス残り5巡で国士4シャンテン、押しますか?オリますか?
別角度の観戦記事(鈴木大介・梶本琢程)は近代麻雀10月1日売り号で。
1978年広島県生まれ。東京大学卒業後、竹書房に入社。近代麻雀戦術シリーズでさまざまな作品を世に出しつつ麻雀最強戦実行委員長をつとめる