【最強戦自戦記】ずっとこの場所で……【文・河野直也】

勝負所は必ず来る。

そしてついに来た。

南2局1本場親岩瀬ドラ

この局の自分の思考を書かせていただける機会をいただけたのは本当にありがたすぎる。

8巡目

この手牌を見ていただきたい。

ドラは

選択肢はいっぱいあるのかもしれない。

なんなら前巡にを切ってるのだが、そこもすでにを切ることもあるだろう。

持ってきた

この時の状況はが場に2枚切れていてすでにもうない。

はドラ表示牌にあり、残りMAXで2枚。

この時考えたのは、何が出たら鳴くのか。

そしてこの先どういうビジョンを描くのか。

選択は打

そして、「何も鳴かない」とこの瞬間に決めた。

確かにドラのをポンすればマンガンは確定する。

アガれば。

ただ、どうしてもポンできたとしてもテンパイ止まりになる気がしてならなかった。

この局はテンパイじゃダメなんだ。

ここが勝負局。

メンゼンでぶつけて決める。

あの瞬間に決めたのはこれだった。

結果、場に放たれたをスルー。

声が出なかったのか‥という声もあったのだがそうではない。

しなかった。

そして、運命のメンゼンテンパイ。

場に2枚見えてるカン待ち。

残り2枚しかないのだが、この手でのアガリの道はこれしかないと思っていた。

『これさえ‥これさえアガれれば‥』

そこに三浦からもリーチ。

剣ヶ峰だ。

こんなにドキドキする瞬間を経験できる幸せ。

そして運命の三浦のリーチ後一発目のツモーーーーーー

場に放たれることはなく、しっかりとそして静かに手牌の横にそのツモ牌は置かれた。

3000.6000。

まだだ!まだ終わってない!

もっとこの場所で打っていたい!

こんなに楽しいんだよ麻雀って。

最高の時間が続いたが‥

結果‥優勝は三浦智博プロ!!

最後は自らの手で優勝を手にしたその姿を僕は見つめるしか出来なかった。

もしかしたらあの勝負局の選択が勝負の分かれ目だったのかもしれない。

ポンしてたら、鳴きを視野に入れていたら‥

たらればはある。だが、後悔はない。

今の実力だし、全部出せた。

試合後、家に帰宅した妻に、負けちゃった。と言うと‥

「お疲れ様! いや、入場の顔よw

緊張しすぎでしょw 後悔ないならいいじゃん!

まだまだチャンスあるからさ!」

最高の労いの言葉。

 

そして、4歳の娘からは前日、パパの顔が中に書いてある手作りのメダルをもらっていた。

実はジャケットの胸ポケットにずっといれていて、本番前まで握りしめていた。

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