結果は明暗あれど、、、二階堂亜樹と白鳥翔が魅せたそれぞれの麻雀プロとしての選択【Mリーグ2021観戦記12/21】担当記者:武中進

攻守に冴えを見せた彼女が、佐々木には一歩及ばなかったが2着で終了、
「佐々木以上のインパクトを残したのでは」と感じる内容だった。

もう一人、興味深い選択を見せてくれたのが白鳥翔である。
取り上げたいのは南2局、上述のとおり亜樹が放銃を回避した直後である。

既に【5ソウ】【8ソウ】でハネ満をテンパイしていた白鳥だったのだが、その後に亜樹が切った【1ソウ】をなんとポン、そして打【7ソウ】とする。

これは以下の通り、【6ソウ】【9ソウ】への待ち替えを目的としたポン。

【1ソウ】【2ソウ】【3ソウ】【6ソウ】【6ソウ】【7ソウ】【8ソウ】 ポン【1ソウ】【1ソウ横向き】【1ソウ】 チー【5ソウ横向き】【4ソウ】【6ソウ】 ドラ【8ソウ】

正直にこの仕掛けをされた瞬間はかなり面食らったのだが、その意図は少々してから理解できた。
白鳥は萩原を主とした他家の河やその動向をみて、【5ソウ】【8ソウ】が殆どヤマに無く、【6ソウ】【9ソウ】の方がヤマに残っている可能性が高いと考えたのである。
そしてトップだけが大きなポイントを得れるMリーグのルールを加味した結果、このハネ満をあがる確率を少しでも高める為にここでギャンブルに打って出た訳だ。

実際にこの時点で【5ソウ】【8ソウ】待ちは完全なカラテンとなっていた。。
そして白鳥が狙いを定めた【6ソウ】【9ソウ】はこの時点で3枚残っており、その点で判断は正しかったといえる。
が、残念ながらポンにより打ち出された【7ソウ】で萩原に12000の放銃。

結果こそ最悪だったが、トップというおおきなリターンを目指してこの選択を堂々とできる白鳥の姿勢を正直に私は「面白い」と感じた。
普通の打ち手だったら動く事によるリスクの方だけを恐れて、ポンをする発想自体がそもそも無いだろう。
私の中で白鳥がこういったリスク承知の貪欲な選択をするタイプのイメージはそこまで強く無かったのだが、
ひょっとしたらいつも彼を応援しているファンは飄々としたその見た目にはあわないギャップに惹かれている人達、なのかもしれない。
私自身もそういったアグレッシブな選択は凄い見ていて楽しい。

亜樹と白鳥の2人、結果は明暗が分かれたが、それぞれの意志を十分に見せてくれた事でこの半荘を盛り上がてくれたと感じる。
無論、佐々木のトップは「静かに勝ってこそプロ」とでも言わんばかりの良い内容だった事も改めて述べておきたい。

佐々木はこれで今季通算プラスに転じており、好調な他メンバーも含めて格闘倶楽部はますます加速を続けている。
今年そして来年も今シーズンを先頭で引き続き引っ張っていくのではないだろうか。

さて最後に、
本文では触れるタイミングが少々難しかったTEAM雷電、つまり萩原聖人についても個人的な感想をちょっとだけ書いておきたい。
なおこれも先ほどと同じくあくまで「今日の半荘を見た筆者の個人的な感想」である。

先ほどの白鳥の前のめりの選択をとらえる事ができた事で何とか3着に浮上した彼だが、
内容についてはいくつかのポイントで「迷いがあるのでは?」と感じた。

例えば南1局1本場

この形からの【7マン】切り、そこまで大きな違和感は無いし、一通の可能性も無くはない。
だが巡目や点棒状況を考えると【1ピン】を切って最低限の打点を安定させる進行もありえた。
またこの巡目だけでなく後にも【1ピン】を切れるタイミングはあったが萩原はこれを見送り結果はリーチのみ1300でアガりとなっている。

私個人としては萩原聖人という打ち手は器用に細かい麻雀を打てるタイプでは無いというイメージがある。
一方で、しっかりとした打点構想をベースに勝負するべき手を作り上げ、少ない回数でしっかり加点をする事を目指す、というイメージだったし、そのスタイルが「雷電の面白い麻雀」だと思っていたのだが、
だが少なくとも今日の内容についてはそのイメージからはずれていた感があり、他チームのほうが打点に貪欲だった様に見えている。
全体的な進行としても他家の仕掛けに対して勝負手からかなり早めにオリた局面もあれば、逆に後半にかなり強引な勝負をする局もあったり、全体的に幾つか違和感を感じた。

現在他チームに大きくポイントをあけられている雷電、
萩原の中でそれを是正をするためのバランス調整の結果が今なのか、それとも迷いが出ているのか、個人的に懸念が残っている。
次回の彼の登板ではそれを払しょくしてくれる内容であることを1競技麻雀ファンとして期待したい。

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