勝ちたい思い 負けられぬ理由 岡田紗佳はどうしても優勝したい【Mリーグ2021観戦記4/5】担当記者:東川亮

渋谷ABEMASは、Mリーグで唯一、3シーズン連続でファイナルに進出しているチームである。しかし、未だ優勝はない。白鳥は昨シーズンのファイナルで、最後に多井に5連闘をさせてしまったことを悔いているという。今度は最後まで全員で戦い、そして優勝する。悲願のシャーレを手にするための、ここは通過点だ。

4者4様に、この試合で負けたくない、セミファイナルで負けられない理由がある。意地の張り合い、思いと思いのぶつかり合いが、さらなる濃密な闘牌を生む。

親の瑞原は、1シャンテンで【9ソウ】を残して【3マン】切り。くっつきの広さや好形のなりやすさは【3マン】の方が上だが、【9ソウ】【7ソウ】【8ソウ】がくっついてのテンパイなら三色で打点がつく。ここは親番で大きく加点を狙った。

【5ピン】が重なってのシャンポン待ちテンパイは取らず。このあたりは一貫している。

白鳥はリャンメン3メンチャンの1シャンテンで【6ピン】を引いて【4マン】切り。3メンチャンではなく、マンズ【2マン】【5マン】受けを固定した。マンズ残りの際に、少しでも強くできるような切り順か。

ドラドラの岡田が【2ピン】【3ピン】【3ピン】【4ピン】【4ピン】から【4ピン】をポン。門前なら高く仕上げられそうだが、すでに【2ピン】が4枚見え、【5ピン】も1枚見えと【2ピン】【5ピン】受けがかなり弱いということで、タンヤオでの切り返しを図る。かなり柔軟な仕掛けだ。

瑞原が【9ソウ】単騎から【4マン】【7マン】に待ちが変わったところで先制リーチ。待ちも打点も不服だが、親番を生かした足止め効果を狙ったか。

これに対し、岡田が一発目に引いた【8ソウ】を少考からツモ切り。宣言牌のそばの無スジであり、かなり怖いところ。

表情に気合いがみなぎっている。瑞原のリーチと岡田の押しを受けて、白鳥は撤退。

岡田は勝又の切った【2マン】をチーして【6ソウ】単騎待ちテンパイを入れる。タンヤオドラ3は、戦局を一気にひっくり返す一撃となる。

そこに最終盤で追い付いた勝又が赤2枚含みのカン【4ソウ】待ちリーチで割って入る。【5ソウ】が全て見えており、その他のソーズの見え具合から、【4ソウ】は勝負になる待ちと踏んだか。実際に、瑞原・岡田の待ちは山になかったが、【4ソウ】は2枚残りだった。

アガリは生まれず流局。戦いは続く。

南3局2本場、勝又が【6マン】ポン、【2ソウ】ポンでテンパイ。タンヤオ赤赤の3900は、供託と本場を合わせれば7500もの収入になる。

勝又の切った【中】を白鳥がポンして応戦。「供託泥棒」という異名はともかく、さすがにこれは渡したくはない。

岡田も門前でホンイツの1シャンテンまで手を進める。この形なら、何でも鳴いてテンパイを取るだろう。

白鳥が2番手でテンパイ。現状カン【6ソウ】待ち、待ちが変わると【7ソウ】が勝又への放銃となる可能性がある。

瑞原は【7ソウ】を重ね、勝又の待ちを4枚ブロック。自身のアガリは苦しいが、チートイツに活路を見いだす。

しかし3枚目の【7ソウ】を引いてしまい、これだけは打てないとばかりに手を崩した。

岡田が【1マン】を引いて少考。白鳥の第1打が【5マン】【2マン】【3マン】【5マン】と持たれているときに【5マン】が先に出てくるのはセオリーの一つとしてあり、かなり切りづらそうにしている。

じっと卓上に目をこらす岡田。

ここはいったん【8ピン】切り。少々受けは狭くなるが、安全度を考慮した選択をする。加点はしたいが、ここで失点するとラスが濃厚になってしまうというジレンマを感じさせる選択だ。

だが、テンパイならもちろん勝負。門前で仕上がったことで打点も申し分ない。

白鳥も、岡田の気配を感じていたはずだ。それでも、ピンズが高い岡田に【9ピン】をぶつけていく。

勝又は早々にテンパイしながら、周りに対応され、自力でもツモれない。打牌のトーンに焦りがにじむ。

ツモる岡田。指先で牌の感触を確かめた瞬間、表情が変わった。

ツモホンイツ、2000-4000は2200-4200。
これで抜け出した岡田が、オーラスも軽い手牌からアガリきり、チーム3連勝を決めた。

「どうしても優勝したい」

岡田は勝利者インタビューで2度、そう口にした。自分が勝ちたい、チームのために勝ちたいのは当然。ただ、今のサクラナイツの選手たちにはそれ以上に、「沢崎のために」という思いが強く芽生えているのだと思う。沢崎が安心して療養できるように送りだし、戻るときにはチャンピオンチームのメンバーとして迎える。そのモチベーションが、チームを頂点へと導くのかもしれない。

「勝負事は気持ちの強い方が勝つ」なんてことを言うつもりはない。気合いでツモる牌が変わることも、おそらくないだろう。けれども情念を込めて目の前の1局に向かう選手たちの姿は本当に尊いと思うし、何よりも、強い思いが生んだかのような奇跡的なアガリを、我々は何度も見てきたはずだ。セミファイナルラスト1週間、そしてファイナル。熱狂渦巻く最後の1ヵ月が始まった。

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