【 #神域リーグ 最終節第30試合観戦記】君は知っているか? 優勝チームを陰から支え続けた 一人の雀士のことを【文 #後藤哲冶 】

3巡でこう化ける。
もちろん【東】ポンでテンパイであるし、メンゼンでのリーチも現実的。
鴨神自身はカン【4ピン】【東】を鳴くことを決めていたが。

なんとメンゼンテンパイ!
迷いなくこれをリーチに踏み切れば。

一発ツモ……!
あまりにも大きい3000,6000。
この半荘早くも2回目の一発ツモ。
高レベルの実力を持つ彼女らに、牌も応えている。

そうするとここに取り残された闇の雀士が一人。
しかし白雪は冷静だった。

「ラスってもいいのでもこさんを勝たせる方向にシフトしたい」
「もこさんに差し込み全然アリだね」

あくまでチーム優勝。
ここまで個人14位と成績が奮わず、悔しい思いをしてきた。
最終戦は絶対勝ちたいと、そう言っていた。

だがこの場面になってしまえば、すぐに自分の成績を切り捨てられる。
我慢ができる。
そこが白雪という打ち手の魅力だと思う。

南1局。白雪は7巡目この形から……

【5マン】
【4マン】のテンパイを逃すのは痛いが、それは三色が崩れている。
ならば、【5マン】を先に切って【2マン】が最終形になったときの河の強さを選んだ。

白雪はこの同卓しているメンツの強さを知っている。
リーチ宣言牌が【5マン】では、【2マン】なぞ出ないとわかっているから先に切った。

狙い通りのリーチに辿り着くも、この局は流局。
白雪の決死のリーチも、まだ届かない。

南1局1本場

親の咲乃が先制リーチ。
自分で2枚使ってはいるものの、【4ピン】【7ピン】待ちの両面リーチだ。

これに追い付いたのが鴨神。
発を丁寧に対子落としして回っていた鴨神に、なんとツモり四暗刻のテンパイ!
リーチに踏み切った。
まだある。これをツモれば、僅かに見えてくる。
ゼウスの、チーム優勝……!

「いろっ……【4マン】【6ピン】……!」
「ツモってゼウスに勝利を……!」

手に力が入る。
伝わってくる。画面の中からも。
鴨神の握る手に力が入っているのが。

ある。【4マン】が2枚山にある!

しかしここは、枚数有利だった咲乃に軍配。
【4ピン】をツモアガって2600オールの加点。

鴨神の四暗刻は、成就させることはできなかった。

南1局2本場。咲乃に勝負手が入る。

咲乃はここから【1ソウ】を打った。
【2ソウ】が2枚切れであまり強くなく、であれば【4ピン】からの好形ターツを作りにいく選択。

しかし次巡、ドラをツモって話が変わる。
これで索子2ブロックが確定したので【4ピン】をリリース。

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