【 #神域リーグ 最終節第30試合観戦記】君は知っているか? 優勝チームを陰から支え続けた 一人の雀士のことを【文 #後藤哲冶 】

そして8巡目、ツモってきた牌はまさかの【2ソウ】
【1ソウ】【4ソウ】はフリテンターツだ。

「……フリテン残すか。【4ソウ】チーできるし」

咲乃はここで【發】の対子落としを敢行。
思い切った一打だ。【2ソウ】が2枚切れということは、【1ソウ】【4ソウ】は悪くない。
フリテンが残っても、勝負に行く構えだ。

咲乃は監督である多井に、ずっと麻雀を教わってきた。
それは神域リーグが始まる前から、ずっと。
その蓄積された知識と経験は、必ず咲乃の中に活きている。このフリテン残しも、そう。

テンパイが入った!
ドラを暗刻にしてのテンパイ。
しかし白雪からリーチが入っている。
自分はフリテン。

「追っかけるよね!」

それでもリーチに踏み切った。
この選択が。

跳満ツモを呼び寄せる!
大きな大きな6000オール!
アキレスのファンに笑顔をもたらす大きなアガリ。

「どこまでもいこう!どこまでも行くよ皆!」

咲乃の笑顔が零れる。
監督に、チームに。タイトルを持ち帰るために。

そして咲乃が魅せれば、千羽も魅せる。
南1局の3本場

千羽にはドラ3の勝負手が入った。
しかし形は苦しく、仕上げるのが難しい手牌。

3巡目にこの形から、千羽は打【9ピン】
タンヤオに重きを置いた一打。
【8ピン】【9ピン】を払うなら、通常内側の【8ピン】から切るのだが、千羽は【9ピン】から切った。
次の巡目に有効牌が来れば、出ていくことを考えれば、順番に意味なんてある?と思うかもしれないが。

裏目の【7ピン】
【9ピン】を切ったのが痛く見えてしまうこのツモも。

麻雀歴1000年の烏天狗は動じない。(実はうーんって唸ってたが)
愚形ターツをいくつも持っているよりも、タンヤオになる可能性のあるターツを残すことの方が重要。

狙い通り、咲乃から出た【6ピン】【7ピン】【8ピン】でチー。
これができるのが千羽黒乃

そしてここで何を切るかで時間を使う千羽。
守備駒になる【西】はとっておきたい、であれば、一見機能していなさそうに見える【8マン】か?

千羽が選んだのは目一杯の【西】
一番嫌なのは白雪からのリーチだが、白雪の河はあまり強くなく、今すぐリーチがかかるようには見えない。
であれば、ツモ【8マン】のカン【6マン】や、ツモ【6マン】での【5マン】【8マン】ノベタンを逃したくない。

この一牌たりとも無駄にしない千羽の繊細な一打が。

このアガリを捉える!
まさに千羽らしい、一巡一巡変わる状況を正確に捉えたアガリと言えるだろう。
このような妙技を、千羽はこの神域リーグで数多く見せてくれた。

南2局は咲乃が1000、2000のツモアガリで局消化に成功し、南3局

ここで少し、闇の雀士の様子を見てみよう。

持ち点、1300点。
放銃0。

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