そして8巡目、ツモってきた牌はまさかの。
はフリテンターツだ。
「……フリテン残すか。チーできるし」
咲乃はここでの対子落としを敢行。
思い切った一打だ。が2枚切れということは、は悪くない。
フリテンが残っても、勝負に行く構えだ。
咲乃は監督である多井に、ずっと麻雀を教わってきた。
それは神域リーグが始まる前から、ずっと。
その蓄積された知識と経験は、必ず咲乃の中に活きている。このフリテン残しも、そう。
テンパイが入った!
ドラを暗刻にしてのテンパイ。
しかし白雪からリーチが入っている。
自分はフリテン。
「追っかけるよね!」
それでもリーチに踏み切った。
この選択が。
跳満ツモを呼び寄せる!
大きな大きな6000オール!
アキレスのファンに笑顔をもたらす大きなアガリ。
「どこまでもいこう!どこまでも行くよ皆!」
咲乃の笑顔が零れる。
監督に、チームに。タイトルを持ち帰るために。
そして咲乃が魅せれば、千羽も魅せる。
南1局の3本場。
千羽にはドラ3の勝負手が入った。
しかし形は苦しく、仕上げるのが難しい手牌。
3巡目にこの形から、千羽は打。
タンヤオに重きを置いた一打。
を払うなら、通常内側のから切るのだが、千羽はから切った。
次の巡目に有効牌が来れば、出ていくことを考えれば、順番に意味なんてある?と思うかもしれないが。
裏目の。
を切ったのが痛く見えてしまうこのツモも。
麻雀歴1000年の烏天狗は動じない。(実はうーんって唸ってたが)
愚形ターツをいくつも持っているよりも、タンヤオになる可能性のあるターツを残すことの方が重要。
狙い通り、咲乃から出たをでチー。
これができるのが千羽黒乃。
そしてここで何を切るかで時間を使う千羽。
守備駒になるはとっておきたい、であれば、一見機能していなさそうに見えるか?
千羽が選んだのは目一杯の。
一番嫌なのは白雪からのリーチだが、白雪の河はあまり強くなく、今すぐリーチがかかるようには見えない。
であれば、ツモのカンや、ツモでのノベタンを逃したくない。
この一牌たりとも無駄にしない千羽の繊細な一打が。
このアガリを捉える!
まさに千羽らしい、一巡一巡変わる状況を正確に捉えたアガリと言えるだろう。
このような妙技を、千羽はこの神域リーグで数多く見せてくれた。
南2局は咲乃が1000、2000のツモアガリで局消化に成功し、南3局。
ここで少し、闇の雀士の様子を見てみよう。
持ち点、1300点。
放銃0。