もしここで指摘しなければ、親の少牌で黒沢はアガリ放棄となり終局しており、記録も生まれなかっただろう。結果としてチームのポイントを減らすことになってしまったが、優のプレーは、まだまだ不完全な麻雀というゲームが、これから愛される競技として広がっていくための手本となりえる素晴らしい行いだった。
渋川は生涯忘れられないような不運に見舞われながらも、対局後のインタビューでは明るく、場が重くならないような受答えを続けた。
まだトップがない中で、Mリーグ記録となる最低スコアを記録(-47,600点)。内心は悔しいに決まっているし、普通はまともに回答できるかも怪しい。
しかし暗い言葉は一切出さず次につながる言葉をしっかり語った渋川の姿は、麻雀を職業にする正に「プロ雀士」だったように思える。
そして黒沢。アガり9回に対して放銃0回とまさにパーフェクトゲームをやってのけた。
この試合、様々な記録が更新された。
・最高スコア(112,700点)
・最長総局数(26局)
・最長試合時間(3時間34分)
・積み棒本数(10本/最多タイ)
長時間の対局で手順を間違えることなく、Mリーグに残る記録を作り上げた黒沢は、役者が違うと言わざるを得ないだろう。
黒沢の活躍により雷電は一気にプラス域・3位まで浮上。
昨年の大不振から一転、順調に順位を上げる雷電。
もし、にまた困難が襲いかかってきても、何も心配することはない。
雷電ユニバースにはどんな困難も乗り越え伝説を作る、「強気のヴィーナス」がついている。
日本プロ麻雀連盟所属プロ。株式会社AllRuns代表取締役社長。業界を様々なやり方で盛り上げていくために日々奮闘中。Mリーグ観戦記ライター2年目。常に前のめりな執筆を心がけています(怒られない範囲で)。Twitterをフォローしてもらえると励みになります。
Twitter:@EzakiShinnosuke