
テンパイ。しかしこれはもちろん納得のいくテンパイではない。
当然のように、Fraはを外していく。
「……いや」
騒がしい通話内で、静かに聞こえたFraの声。
それは、このテンパイでは足りないという自らの意思確認。
その姿に、私は神域リーグ最終節で先発登板したFraを思い出した。
【 神域リーグ 最終節第28試合観戦記】この凱歌が聞こえるか 胸を張れ歌衣メイカ 麻雀の楽しさを、伝えるために【文 後藤哲冶 】
神域リーグ最終節。1位のアトラスを捲るために、Fraの所属するゼウスは全員がアトラスの上に行く必要があった。
その第一試合、実はFraは『4着回避率』というタイトルがかかっており、4着をとらなければ個人賞が確定する状況だったが。
それでもFraはチームの『勝ち』にこだわった。
『4着回避率』の話題をFraが出すことは、ついぞ最後の最後まで、無かった。
Fraはチームの優勝を諦めなかったのだ。

……!
画面の先のFraがニヤりと笑う。
神域リーグでは敗れた。
これはいわば、エキシビジョンマッチ。
それでも関係ない。
自分がゼウスで。相手がアトラスなら。
――返してもらおうかあの日の優勝旗。

一発ツモ。
文句ナシのアガリで、アトラス白雪を捲ってFraがトップをもぎ取った。
「神域リーグ麻雀っていうのは腕前が遥かに上の人にも勝てるっていう夢のある競技っていうことを証明するために俺はここに立って、今日俺は証明してやりましたよ皆さん!(超絶早口)」
大人気ラッパーの面目躍如。
リーチ後の立て板に水状態のdisりもさることながら、この最後のまくしたても、見ている視聴者も笑顔になるとても嬉しそうなFraの様子が印象的だった。
「どうなってんだこのゲーム!!!!」
……あれ、なんか闇の中から叫び声が聞こえた気が……。

以上の結果から、第一試合はゼウスFraがトップ。
アトラス白雪は捲られこそしたものの、ボーナスもあって大きな2着。

神域リーグでは、いぶし銀な活躍こそあれど、気持ちの良いトップはなかなか取れなかったFra。
それがこの雀魂インターハイという舞台で取れたこと、Fraはとても喜んでいるように見えた。
神域リーグに出れたことを誰よりも感謝していると言い、そしてチームメイトへの信頼と仲間意識も人一倍強く見えるFra。
それは最終節の試合を見ていてもひしひしと伝わっていた。
あの日、トップで繋げなかったバトン。
今度はしっかりと、アトラスを捲ってトップで繋ぐことができた。
目指すのはもちろん、あの日目の前で夢と消えた――優勝だけだ。
最高位戦日本プロ麻雀協会47期前期入会。麻雀プロ兼作家。
麻雀の面白さと、リアルな熱量を多くの人に伝えるため幅広く活動中。
Twitter:@Kotetsu_0924