東4局1本場。4巡目にを引いてきて渋谷の選択。
と切っていけば、ロスの少ない形になるが……
渋谷が選んだのは。
この打牌のメリットは、仮に三色にならないを引いてきてしまったとしても、もう一度を引くチャンスがあること。
さらにこの手順なら最高でメンタンピン三色イーペーコーだ。
想定とは違ったが、これでもタンヤオのリーチが打てる。
渋谷がリーチ。
15巡目、渋谷の元にやってきたのは…… カン材の。
「麻雀って……楽しいよね」
『咲-Saki-』原作ファンなら誰もが知っている悪魔の囁き(名言)を口にする渋谷。
神域リーグ視聴者なら誰でもあの時の映像が頭をよぎっただろう。
大明槓からの嶺上開花。
それこそ咲顔負けの嶺上開花の実績がある渋谷なら、あり得る――
残念ながら、嶺上開花とはならなかった。
しかし一瞬で周りの同卓者から悲鳴が上がったことを見ても、渋谷のカンには迫力がある。
結局、テンパイを入れていた歌衣に振り込みに回ってしまったが、一つ見せ場を作った渋谷だった。
続く南1局。
歌衣がこの手牌から鳴けるが出て動きが止まる。
既に手牌はイーシャンテンで、をチーしてテンパイに取ると役は無い。
イーペーコーはメンゼンでのみ有効な役だ。
歌衣の選択は、をチーしての打南。
イーシャンテンからイーシャンテンへの鳴きだが、これならタンヤオが確定して鳴きが使いやすい。
ピンズの形もがドラで、そのままイーペーコーとして使うよりは
やといった1メンツ1雀頭といった形を想定した方が柔軟だ。
……という解説を歌衣にしていることが本当に驚きだ。
公式放送で解説を務めている多井も
「こんなチーするメイカじゃなかった! 4種類から国士に行ったメイカちゃんはもういないんだな…… 」
と、寂しそうな口調とは裏腹に、どこか嬉しそうな表情。
ドラのを引き入れた後に、咲乃から出たをポン。
待ちにもとれたが、待ちを選択。
をポンしてが当たるとは、他家も想像しにくい。
結局、咲乃のリーチ後に渋谷が現物のを打ってしまい、歌衣に11600点の放銃。
南1局1本場も、歌衣の鳴きが光る。
この配牌から、をポン。
咲乃から先制リーチを打たれるも、鴨神から出た現物のを鳴いてテンパイ。
打点こそ低いがテンパイを組むことに成功した。
更に次巡、を引き入れる。
単騎テンパイにとれば打点は上がる。
以前の歌衣なら迷いなく単騎テンパイにとりそうなところだが。
歌衣はをツモ切り。
そもそもリーチの咲乃のリーチに両方は打っていきにくく、巡目が深くなればオリも想定される場面。
でアガることができればもちろん良いが、大きなリスクを負う局面ではない。
神域リーグMVPの歌衣の選択が、冴え渡っている。