優勝のためだけに全力でやる
応援してくれている人たちに
恩返しを
前半戦を首位で終えた渋谷ABEMASは、Mリーグ発足から唯一となる5シーズン連続でのファイナル進出に向けて視界良好といったところだ。しかし、ABEMASの目標はあくまでも、いまだなし得ていない優勝のみ。白鳥翔は後半戦に向けて気を引き締めつつ、好調だった前半戦に築いた優位を生かし、チーム一丸となって初優勝へ歩を進めていこうとしている。
──渋谷ABEMASは前半戦を首位で終えました。ここまでについてはいかがでしょうか。
前半の調子の良さを考えると、もう少し伸ばせたらよかったとは思います。
でも、そんなに簡単ではないのはもちろん分かっていますし、今の347.6ポイントという数字は、後半戦を迎えるにあたってはかなりのアドバンテージだと思うので、すごく満足しています。
個人的な成績で言うと、直近3試合で443という結果にはなっていますが、内容をみるとしょうがない感じではあるので、トータルではそんなに悪くはないと思っています。
むしろ最初の頃のほうが、2位だったけどトップを取れたかも、という反省が多かったかもしれません。
──1年くらいラスがなかった、という話題がありましたが、意識したところはありましたか。
それは全くなくて。常にトップを取りに行っていましたし、なのにたまたま引かなかったというだけで、すごくツイているなという感じでした。
ただ、これは日吉(辰哉)さんに言われたんですけど、ほぼ1年間ラスを引いていなかったのって、結構分かりやすくすごいじゃないですか。麻雀を新しく見ている層の人たちにとっては、アピールポイントとして分かりやすいなと思います。
──前半戦では、10月はチームがラスなしと非常に調子が良かったのですが、12月は少し成績を落としてしまっています。
12月に関しても、たぶん負けたのは150ポイントぐらいなんですよね。
客観的に見て、この日は取りこぼしたかも、ミスが結果に直結したかも、という試合が12月になって出てきたように思ったんですけど、でもそういうことはどこのチームにも絶対ありますし、それが12月までなかったことは、ツイていると言ってもいいかもしれません。前半戦は、展開にすごく恵まれました。
僕の中では、ツイているツイていないというのは配牌やツモではなく、たとえば自分がトップ目のときに横移動で失点せずに局が流れるとか、自分がアガれないならこの人がアガるのがベスト、みたいなことが起きることだと思っています。
麻雀というゲームの性質上、誰かがミスをしたときに恩恵を受けられないこともあるんですけど、前半戦のABEMASはそうした幸運に恵まれたので、ポイントを伸ばせていたところはあると思います。逆に、12月はそれがあまりなかったのかな、という感じです。
──後半戦に向けてはいかがでしょうか。
チーム内でも結構言っていますけど、(多井)たかはるが過去4シーズンを振り返っても後半戦に強いですし、残り試合が少なくなるほどポイントを持っていないチームは選択肢が狭まってくると思うので、有利にシーズンを進めるためにも、より多くのポイントを持って、終盤戦をいろいろな選択肢を持てている状態で迎えたいです。そうすればさらにポイントを伸ばせると思います。
セミファイナル、ファイナルと、ポイントは半分に減らされますけど、それでも半分持っていけるのは大きいので。
──渋谷ABEMASは過去4シーズン連続で3位、今年こそ優勝という思いは強いと思います。
優勝したいですよね。そのためにどうするかを考えてチームのみんなで来ていますけど、やはり結論として、何が何でもファイナルに残るというところだと思っています。そもそもファイナルに進めなければ優勝はできないですから。
実際、今のポイント状況だからというわけではありませんが、レギュラーシーズンで敗退しないために打っているわけでは全くなくて、いくつ持ち越せるかしか考えていません。ただ、ここから負けてしまうことがあるのも麻雀なので、しっかり気を引き締めていきます。
──最後に、優勝を期待しているファンのみなさんに向けて、改めて意気込みをいただけますか。
勝って喜びを分かち合うのがABEMASを応援してくださっている人たちへの恩返しだと思うので、必ず勝ちたいですし、今年こそはという気持ちはやっぱりみんな強いです。
毎回「今年こそは」と言っていて、それはいやなんですけど、やっぱり勝ちたいです。
他のチームには、ファイナルに残れなかったら選手の入れ替えがあるところもありますけど、そこもプロとして容赦なくやって、自分たちの優勝だけを見てやろうと思っています。
見るのがキツいと感じる人もいるかもしれませんけど、そういう過酷さとかも楽しんでいただければと思います。自分たちは、自分たちのために全力でやるだけです。
さいたま市在住のフリーライター・麻雀ファン。2023年10月より株式会社竹書房所属。東京・飯田橋にあるセット雀荘「麻雀ロン」のオーナーである梶本琢程氏(麻雀解説者・Mリーグ審判)との縁をきっかけに、2019年から麻雀関連原稿の執筆を開始。「キンマweb」「近代麻雀」ではMリーグや麻雀最強戦の観戦記、取材・インタビュー記事などを多数手掛けている。渋谷ABEMAS・多井隆晴選手「必勝!麻雀実戦対局問題集」「麻雀無敗の手筋」「無敵の麻雀」、TEAM雷電・黒沢咲選手・U-NEXT Piratesの4選手の書籍構成やMリーグ公式ガイドブックの執筆協力など、多岐にわたって活動中。