リーチ超人がリーチを
打たずにトップを決めた!
村上淳、多井隆晴が魅せた
守備を意識しながら勝つ麻雀
文・危険な鬼太郎【火曜担当ライター】2021年3月9日
1回戦では少しだけらしくない仕掛けを見せた多井隆晴だったが、この2回戦では多井の最強最速たる所以のメリハリのある麻雀を見せつけてくれた。
今回はMリーガーの中でもかなり守備意識の高い多井隆晴、村上淳の打牌を中心に書いていって「守備を意識しながら勝つ麻雀」を皆様に見てもらおうと考えている。
今回の半荘を見れば村上や多井が何十年と競技麻雀の最前線で活躍出来た要因が分かるはずだ。
【3月9日 2回戦】
西家 茅森早香(セガサミーフェニックス)
東2局 親・勝又 ドラ
多井がを1鳴き。
1回戦に見せた遠い鳴き…とは少し意味合いが違う鳴き。この手牌は確かに遠い鳴きではあるものの、打点がある。
ダブルドラであるとを手牌に組み込めればそれだけでお手軽満貫。もちろん愚形なので他家からの押し返しがあった時に多少困るが、他家からリーチを貰っても打点を武器に切り返す事も出来る。
他家はこの多井の序盤の鳴きを見て受け気味の進行をする。多井が鳴きを使う時は相当手牌が好形なときか?ドラが2枚以上手の中にあるのかのどちらかがほとんど。価値の無い手では多井の鳴きに皆攻め返せない。
多井はしっかりとを使ってアガリを決めた。
、ドラ、赤赤の満貫のツモアガリ。一回戦の勢いそのままに駆け抜ける。
東3局 親・茅森 ドラ
村上がイーシャンテンで小考
と役牌2種のイーシャンテンなので、とを1鳴きをするのかどうか考えてるのかと思いきや、
村上はなんとここで打。イーシャンテンを壊す。
場を見ると誰一人とてピンズを切っておらず全体的にピンズが高い。が良くないので役牌二つを活かしての役役ホンイツに梶を切る。
高打点が好きな村上らしい選択だ。
村上がをポン!
のリャンメン払いを堂々と他家に見せて、自分はホンイツに移行したのだと他家にアピールする。
ここで多井が聴牌を入れる。
ここはリーチを打たずに待ちのヤミテンをこっそり入れる。普通ならイッツーのじゃないを引いてガッカリしながら、ピンフのみの待ちのリーチを打つが場はもう普通ではない。
村上がを鳴いて露骨なホンイツに向かっている。マンズや字牌が余っていないので速度はよく分からないが、ドラ色のホンイツなので高い事は間違いない。
対して自分の手はさえ入ればピンフイッツーのリーチを打てば確定満貫の手になっていたが、ではリーチピンフの二千点の手。
トップ目から村上のホンイツにピンフのみでぶつけるのではリスクとリターンが全然見合っていない。
村上の露骨な仕掛けに対応した他家の待ちの降り打ちを狙う。
ここでの村上の打牌が面白い。
を引いてのをカラ切り。を引けばの聴牌になるので何となく持つ人も多いだろうが、が自分の目から3枚、が2枚見えていてマンズの下がすこぶるよくない。しかもを仮に引いたとしてもそんなに待ちが良くない待ちの3900の聴牌になる。
それならばとを重ねてのでアガればマンガンのシャンポン受けになる、この字牌と字牌を浮かした形の方が優秀だと村上は判断したわけだ。
村上はいつも自信満々に牌を切っているのに、この辺りの牌を残すか残さないかの判断は凄く慎重に精査している。
ここで親の茅森が聴牌。
直前で村上からが切られたのでヤミテンも有りか?と思ったが、茅森は一切悩まずにリーチピンフ一盃口赤の待ちでリーチを宣言した。
1回戦のラスでフェニックスは少々厳しい位置に立たされている。安定した成績をたたき出したいのならヤミテンも有りだが、トップを狙う為にはリーチを打ってアガリを取るしかない。
一発でを掴む多井。
物凄く悩んでいるが多井がたった千点の手で、しかも親のリーチの一発目で無筋を打つ訳がないので安心して見てられる。
当然のように親の現物のを対子落としして降りる多井。こういうヤミテンも多様しているからこそ多井はそうそう崩れない。
茅森の独り舞台になるかと思いきや、これに立ち向かったのが村上。