【 #神域リーグ2023 第4節第12試合観戦記】神域の夜空に、大三元の煌めき その奇跡の裏 空星きらめは 歩みを止めなかった【文 #後藤哲冶 】

神域の夜空に大三元の煌めき
その奇跡の裏
空星きらめは
歩みを止めなかった

役満。
それは麻雀において1番点数の高いアガリで、それだけに達成するのが難しい役の総称。

事実、この神域リーグという舞台においても、昨年歌衣メイカが四暗刻をアガって以降、役満は出ていない。

しかしこの日、新たな伝説を打ち立てた少女がいた。

役満、大三元成就。

幸運を手繰り寄せた、輝かしいアガリ。

この第12試合、ほとんどの話題はこの空星きらめの大三元で持ち切りだ。
……けれど、本記事ではあえて。
その役満の影で隠れた、裏のお話を少ししたいと思う。

それでは、対局に入っていこう。

第13試合
東家 咲乃もこ  (チームアトラス)
南家 白雪レイド (チームアキレス)
西家 天開司  (チームグラディウス)
北家 空星きらめ (チームヘラクレス)

東1局

この試合、先手をとったのはアトラスの咲乃もこだった。
咲乃も、この神域リーグで苦しんでいる選手の1人。
このカン【5ピン】テンパイでリーチ判断を迫られる。

咲乃の選択は、リーチだった。
ダマにしてドラ引きや良形変化、三色の手変わりを待つ手もあるが、ここは親番でのリーチの強さを利用する作戦。
ダマテンに比べて他者からのアガリ率は落ちるが、その分周りがオリて、最後までこの【5ピン】のツモ抽選を受けるケースを増やすことがメリット。

狙い通り周りはオリ気味に打たされ、そして咲乃は残り1枚になっていた【5ピン】を最終盤にツモることに成功。

「私もアトラスに貢献したいんだよ……!」

ここまで苦しい戦いを強いられ続けた咲乃が、嬉しい嬉しい先制攻撃。

流局を挟んで、東1局2本場
咲乃がここまで苦しい戦いを強いられている、と記したが。
この第12回戦を戦う選手ではもう1人。
運に見放され続けている打ち手がいた。

天開司
チームグラディウスの1位指名選手は、藻掻き、苦しんでいた。
第11回戦で監督渋川がトップを取り、その流れに乗るべく、天開も必死で前を目指す。

「あぁ、(ドラの【1マン】)ないね。じゃあ押そうか」
「レイド君は遠くからでも来るしな」

天開は冷静だった。2副露の白雪に対し、ドラの【1マン】を切った咲乃。
その【1マン】にポンやチーが入らなかったことで、白雪の手への警戒度は若干下がる。
対戦相手の研究もしっかり行っていた。たしかにアキレスの白雪は多少遠くからでもアガリのチャンスを狙ってくる相手。
麻雀ではこういった読みのことを「人読み」と呼ぶ。
リーグ戦等の決まった相手と打つ場合は、非常に大事な要素だ。

狙い通り【9ピン】を引き入れて、【3ソウ】【6ソウ】のリーチ。
白雪に2枚【3ソウ】を処理されてしまったが、関係ない。

「枚数とか関係ねえわ。引くか引かないか。それだけだろ」

覚悟は決まっている。
なんとしても、この良い流れに乗りたい。

対して、親の咲乃も難しい判断を強いられることになる。
タンヤオ三色という勝負手のイーシャンテンだった咲乃。
しかし引いたのは三色にならない【5マン】

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