四暗刻の衝撃も乗り越えた『小さな天才』堀慎吾、オーラスの選択【Mリーグ2025-26 レギュラーシーズン 観戦記 10/31 第2試合(麻雀LIVEチャンネル)】担当記者 ヤマサンブラック

四暗刻の衝撃も乗り越えた
『小さな天才』堀慎吾
オーラスの選択

文・ヤマサンブラック【金曜担当ライター】2025年10月31日

10/31、ハロウィンの夜――。
麻雀LIVEチャンネル第2試合は、こちらの4選手で行われた。

第2試合

東家:堀慎吾KADOKAWAサクラナイツ
南家:多井隆晴渋谷ABEMAS
西家:三浦智博EARTH JETS
北家:浅井堂岐セガサミーフェニックス

東場は、堀が優勢に進めていった。
東2局、4巡目に堀が先制リーチをかける。

【4ピン】【7ピン】待ちのリーチ赤。ところが同巡、【白】と自風の【南】をポンしていた三浦もテンパイを入れる。

【5ソウ】を勝負し、スジのカン【8ソウ】待ち。ドラの【發】がトイツなので、【南】【白】ドラドラ、満貫の手だ。
1試合目でシーズン初トップを決め連投となった三浦は、前局でチートイドラドラの1本場、6700点を堂岐から出アガっている。
【4ピン】【7ピン】は残り3枚。【8ソウ】は4枚が山にいる。枚数では三浦が有利だ。
勢いに乗り、ここも三浦がアガりきるのか?

三浦が前巡の【5ソウ】に続き【5ピン】と、ど真ん中の無スジを続けて押すと、場に緊張が走った。
他家も三浦のテンパイ、それも高打点ということを察知しているだろう。多井も堂岐も、慎重に打牌を選択、確実にオリていく。
堀と三浦、どちらの待ちが先にいるのか──。

7巡目、三浦の手が分岐点を迎える。

【發】が暗刻になり長考。【7ソウ】【9ソウ】を切れば跳満になるが、あくまで三浦はカン【8ソウ】を貫き、手の内の【發】と入れ替えた。いわゆる空切りだ。
【7ソウ】【9ソウ】も1枚ずつ見えている。跳満満貫にしても、ここは枚数勝負ということだろうか。

──この【發】切りは、他家に疑念を生じさせた。
役牌を2つ鳴いた状態で、無スジを勝負し続ける三浦はどんな手をしているのか。
赤が1枚あったとして、3900点の手でここまで押せるものなのか。
トイトイなら満貫はある。だとすると、スジやノーチャンスの牌もおいそれと切りづらくなる。ほかに考えられるのは、【發】を暗刻からの1枚落としだ。
様々な可能性が頭をよぎるのだろう、険しい表情を浮かべながら多井は懸命にオリる。

15巡目に、堀が【9ソウ】をツモ切った。
三浦は【發】を暗刻にして【9ソウ】単騎を選んでいれば跳満のアガリだった。だがこれは結果論、終盤を迎えても両者の決着はまだ着かない。
三浦の待ちである【8ソウ】は、2枚続けて堂岐が吸収した。

堀の最後のツモ番。引いたのは……

最後の【7ピン】だ!

裏ドラが乗り、リーチツモ赤裏、2000・4000の満貫となった。
打点も高いが、めくり合いを制した価値もまた高いアガリと言える。

──試合は南場に突入。トップは堀、三浦が2着目と続く。

南2局、苦しい展開が続きラス目の堂岐が、ここでチャンスを迎えることになる。

6巡目にチートイツのイーシャンテンで【7ピン】が暗刻、ツモり四暗刻のイーシャンテンにもなった堂岐。

堂岐の打牌は…… 決意の【赤5ピン】切り!
チートイツのイーシャンテンもキープしてはいるが、あくまで狙いは役満の四暗刻なのだろう。
まだ親があるとはいえ、【1マン】【4マン】引きのテンパイは拒否するに違いない。私はそう思った。

7巡目、堂岐は三浦が切った【2マン】をスルー、さらに堀が切った【2マン】もスルー。トイトイのテンパイを取らないこの選択はしびれた。堂岐が狙うのはあくまで役満、四暗刻なのだ。

11巡目、【9マン】を引いた堂岐。

【3マン】を切って、ツモり四暗刻でリーチを打つ。
【2マン】【2ソウ】のシャンポンだが、【2マン】はもう2枚切れていて、待ちは【2ソウ】のみだ。
しかし、【2ソウ】は2枚とも生きている。

13巡目、多井が堂岐の現物の【5ピン】を切ると、仕掛けていた三浦がチー。

リーチ宣言牌のまたぎである【1マン】を勝負し、三浦もカン【7ピン】テンパイで追いつく。だがこの時、私の中になにか予感のようなものが走り、心拍数が上がった。

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