戦闘民族・鈴木優が 強く切り出した發に込めた 確かな勝利への意志【Mリーグ2022-23観戦記1/6】担当記者:後藤哲冶

【發】が優の手元にやってくる。

解説の藤崎プロも言っていたが、大三元ならホンイツに行く必要はなく、【2ピン】【3ピン】を外している寿人の河はなるほどたしかに、いくらかはこの【發】は切りやすいかもしれない。
だが、優の手牌を見てほしい。
優の手牌はまだテンパイはおろかイーシャンテンですらない。
この手から万が一にでも寿人への大三元放銃はできない。つまりはこの【發】を切る価値が薄いということなのだ。

それでも。
優はこの【發】を切った。
この発を手牌にとどめる選択肢はなかった。
持てば持つだけ、寿人が発を重ねる抽選を受けることになる。

テンパイしてから。もう少し形が良くなってから。
そんな甘えは、優にはなかった。

手形は悪い。テンパイはまだ遠い。
それでも優は、どうしてもトップが欲しい。

この親が落ちてしまったら、現実的にトップは厳しくなる。
どうしてもトップが欲しいが故の、打【發】なのだ。

しかし、その優の決意の打【發】すらも打ち砕いたのは、既にド級のテンパイを入れていた堀だった。

以上の結果から、トップは年を跨いでの3連勝、堀慎吾となった。

個人ポイントも一気にプラス域へ。分かっていたことではあるが、やはり堀慎吾は強い。
結果でそれを示している。

優はなかなかトップが遠く、もどかしい展開が続いている。
チームとしても、今日の第一試合で仲林が悔しいラスだったこともあり、またしてもチームポイントはマイナス域へ。

しかし今日のあの南3局。
発を打ちぬいた姿勢に、優の確かな勝利への意志を感じた。

必ず、歓喜の時が訪れると信じて、戦闘民族は牙を研ぎ、機を待つ。

今はまだ――雌伏の時だ。

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