はドラのそばだけにかなり危険な牌だ。
この押しによって
テンパイが入った。
走り出した黒沢を、誰が止められようか。
「ツモ」
リーチ・一発・ツモ・タンヤオ・赤2…天空まで駆け上がる6000は6200オール!
(はいはい)
(都会は怖いっぺー)
(帰りたい)
三者の心をへし折る一撃に、卓上は焼け野原になった。
あとはあの日のレコード(11月7日にとった112700点のトップ)にどれだけ近づけるかに視聴者の興味は移行した…かのように見えた。
「ロン、12000」
南3局、黒沢が序盤に切ったに、ふいに声がかかる。
タンヤオ・三暗刻・赤2。
亜樹への親マンダイブ。
不幸としか言いようがない放銃に黒沢の心は少し揺れたか。
焦点の一局
黒沢にとって、亜樹の連荘は長く感じたに違いない。
1本場、亜樹は1000オールと加点したあと、2本場には2巡目リーチ!
とドラのシャンポン待ち。
満貫確定、裏ドラ次第ではハネマンまである勝負手だ。
そのとき、黒沢の手は…
ああ! 危ない! がある!
早いリーチにオリる時は「複数枚ある牌を選ぶ」のがゼロ秒戦術だが、黒沢の手牌は全て単独牌だ!
となると放銃率の低い字牌から選ぶよりない。
黒沢も→…と切っていき、いよいよがネクストバッターボックスに立ってしまう。
か、どちらを打つか。
もしここで12000を放銃しようものなら、ほぼ手中に収めてきたトップがするりとこぼれ落ちてしまう。世紀の大逆転と不名誉な記録になりかねない。
か…か…
プレッシャーのかかる場面だ。
亜樹の攻撃は、黒沢の鼻先をかすめた。
黒沢は1/2の選択に勝利し、以降は安全牌が尽きることなく流局へもつれこむことに成功。
5本場と粘る亜樹の親を
黒沢家ではご法度とされているリーチのみで切って落とし、トップを守りきったのだった。
ただ、このときの点差を見てほしい。
もし東4局にを押した場面で、積み重なる点棒にもたれかかるようにオリていたらあの6000オールはなかった。
もしかの2択を外していたら…。
たらればの話で、展開も変わるし結果は何とも言えないが、見た目以上にギリギリのトップだったし、さらに黒沢オリジナルのトップとも言えるわけだ。
黒沢は、決して魅せようと思って高打点という武器を振り回しているわけではない。
これが一番勝てる、これが一番しっくりくる、と思って今のスタイルがあるのだ。
本田がラスを引いて絶好調に陰りが見えてきたが、すかさず萩原が連勝し、この日は瀬戸熊・黒沢によるデイリーダブルを決めた。
もう失うものがない捨て身の雷電が、初のファイナルへ向け暴れまわる。
オマケトーク
私が女性と同卓して一番萌える仕草は