麻雀星人の研究レポート【Mリーグ2022-23観戦記2/13】担当記者:渡邉浩史郎

この局は1000オールの収入となった。

麻雀星人の傾向分析として、小項目にて扱わせていただく。

4.東4局・南1局1本場・南2局事例~押し引き~

【東4局】、親番黒沢のリーチと高宮のリーチに挟まれた局面。上家の堀が切った【8ピン】で麻雀星人の手が止まる。
自身は鳴くことでチャンタドラドラの5200以上が確定している形の一向聴。【白】かドラが暗刻になればマンガンの収入だ。

小考の末、チー。そして一枚切れの【東】をプッシュ!
親の黒沢の現物ではないため、気持ちとしてはそこそこ気合の入った押し。

次巡、引いてきたのは【7ソウ】。高宮にはリーチ前の、黒沢にはリーチ後に筋になった牌。
ここは押すかと思われたが……

半歩迂回の【2マン】切り。
【7ソウ】は筋とはいえ、リーチ二人は全体的に6より上の牌が高い河。678、789の三色や、三色崩れのペン【7ソウ】などが出てくる可能性は十分にある。自身が聴牌でない以上は押したくない牌と判断した。点棒状況的にもまだ二着だ。

【3ピン】引きで完全にギブアップ、【西】の暗刻落としに入る。
この安全に降りられる道筋があるからこそ、最初の仕掛けが成立しているのは言うまでもないだろう。

続けて見ていただく麻雀星人の押し引きは【南1局1本場】。高宮の3200オールツモで僅差ながら3着まで落ちた局面。

この局の先制は親の高宮。待ちこそシャンポンだがしっかりと打点のあるリーチ。

麻雀星人も追いつく。しかし打点は赤1の愚形。出ていく【4ピン】【8ピン】もまったく通っていない。

しかしここは両無筋の【4ピン】を切って追いかけた!
降りてしまっては高宮のツモアガリを待つばかり。高宮から引き離されないためにはこの局アガリを拾うことが肝心。
トップを取ろうという意思が感じ取れるリーチだ。

カン【5ピン】とカン【7ピン】の選択だが、堀の【8ピン】・高宮の【9ピン】分ほんのりカン【7ピン】がマシに見えたか。二軒リーチに挟まれた黒沢・堀が筋の【7ピン】を選ぶ可能性もある。

意思の込められた打牌には結果が伴うなんて地球の使い古された言い回し、麻雀星人は鼻で笑うかもしれない。しかし見ている我々にそう感じさせるような、力強い2600のアガリ。

麻雀星人の押し引きサンプルはこれだけに留まらない。次の事例は【南2局】

またしても親が先制する展開。堀のリーチが入る。【4ソウ】【7ソウ】待ち。

麻雀星人にも聴牌が入る! しかし出ていく牌がリーチ後にひいた当たり牌の【4ソウ】という間の悪さ。

30秒間の思考の果て……

麻雀星人は降りを選んだ。

アガリ目となる【8ソウ】が3枚切れとなったこと、点棒状況的にラス目の親リーチには押しにくいことが大きな要因。そして……

 

何かを察知したこの動き、人類には備わっていない第六感が鋭敏に働いている。
もしかしたら他の麻雀星人からの交信念波を受信したのかもしれない。普段は見せないそぶりだが、交信のマナーモードを設定し忘れたか。(注:対局場へのスマートフォンの持ち込みは禁止されております。)
決して空調の音が気になるとかそういう理由ではないはずだ。

この選択に関しては、点棒状況から「普通でしょ」と思う地球人もいるかもしれない。しかし100回の当たり前を100回正確にこなす、そういう点で麻雀星人がぶれている様子を、私は見たことがない。そこにこそ凄みがあるのではないか。

5.まとめと今後の展望

その後、心眼で山をスキャンしているような光景がありながらも、

ラス目の堀の強烈な倍満ツモ。親被りの煽りを受けてラスとなってしまった。

この結果を受けて、ABEMASはいよいよ1ラスでマイナス圏内の崖っぷち。ボーダー争いに巻き込まれつつあるといっていいだろう。

対局後、麻雀星人は落ち込んでいた。

「何をすればいいかわからない。どうしようもない」

麻雀星人をしてそう言わしめた、麻雀の恐ろしさ。
麻雀星人も我々地球人と同じ。麻雀に苦悩し、恐怖する。そして麻雀に蹂躙されうるのだ。

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