ラス目であっても焦ることなし　冷静沈着な軍師勝又健志は　今日もチームの為羽扇を振るう【Mリーグ2022-23観戦記3／10】担当記者:後藤哲冶

中盤に差し掛かり、満貫ツモで着順アップの茅森からリーチが入る。

勝又はチートイツのイーシャンテンで粘っていたが……ここで、現物のを対子落としに入った。

「ここまでですね」

掲げていた羽扇を、勝又がゆっくりと降ろす。

茅森のリーチは高いケースが多く、万が一にも12000を打ってラスになるわけにはいかない。
トップこそ逃すが、この展開で２着を持ち帰れただけでも御の字。
更には現状首位争いをしている格闘倶楽部よりも上の順位で終われるのも大きい。

結果、トップとなったのはサクラナイツ内川だった。

手順マエストロの二つ名に違わぬ、見事な手順で南３局に逆転手をアガり、チームにトップを持ち帰った。
これでサクラナイツはプラス浮上まであとわずか。レギュラーシーズン通過ボーダーからも大きく抜け出すことに成功。

勝又の所属するＥＸ風林火山は、現状レギュラーシーズンの通過はほぼ盤石なものになっている。
ポイントの有利があるからこそ、勝又も最後の局面で、矛を収める選択をしやすかった。

しかし、必ず来る。
勝又が敵陣の奥まで踏み込み、リスクを負ってでもトップに食らいつく局面が。
セミファイナルか、ファイナルか。それはまだわからないが。

そんな最終盤の緊迫感のある勝負にこそ、この男は欠かせない存在となるだろう。