堀慎吾の復活と共に、Mリーグは激動の後半戦へ【Mリーグ2022-23観戦記12/27】担当記者:東川亮

堀慎吾の復活と共に、
Mリーグは激動の後半戦へ

文・東川亮【木曜担当ライター】2022年12月22日

大和証券Mリーグ2022-23、12月22日・23日の第2試合は、各チームの48試合目にあたる。今シーズンから、レギュラーシーズンの試合数は94試合に増えた。つまり、この試合からシーズンは後半戦を迎えるということだ。

一方で、今節を終えるとMリーグは年末年始の短いウインターブレークに入る。実質的には年明け2日の試合からが後半戦と考えると、この48試合目は少々不思議な位置づけに思える。

決して共通の意図があったとは思えない。ただ、この試合のメンバーを見て、感じるところがあったのは事実だ。チームの大黒柱である多井隆晴小林剛。前半戦を席巻した本田朋広。そして、昨シーズンのチーム優勝の原動力となるも、今シーズンは結果がついてこない堀慎吾。これからシーズンが佳境へと向かうなかで、幾度となく訪れる正念場を戦うであろう4名である。これを前哨戦と捉えるのは、いささか飛躍が過ぎるだろうか。

第2試合
東家:本田朋広(TEAM雷電) 
南家:小林剛U-NEXT Pirates
西家:堀慎吾KADOKAWAサクラナイツ
北家:多井隆晴(渋谷ABEMAS)

東1局は、本田が今シーズンの好調をそのまま感じさせるような展開になった。中張牌だらけの1シャンテンではあるが、このままのテンパイでは待ちも打点も不服、もう一工夫がほしいというところで、【4ソウ】を引いて5トイツ目ができた。

ここで本田は、メンツ手をほぼ見切る打【3ピン】とする。確かにタンヤオチートイツならリーチをかければ9600からと高打点になるが、受け入れそのものはかなり少なくなるし、欲しい牌は他家に持たれていてもおかしくない。2メンツあって横伸びのカギになる7の牌も全種類ある状況で、チートイツにスパッと決め打てるところに今の充実ぶりを感じる。

切られた【3ピン】を、既に役牌を含めて2つ仕掛けていた小林がチー。

直後、本田が【5ソウ】を重ねて【6ソウ】待ちで即リーチ。

手牌4枚で安全牌もない小林からテンパイで【6ソウ】が押し出され、

本田がリーチタンヤオチートイツ、裏ドラは乗らずも9600の高打点で先手を奪った。

東4局1本場、トップ目に立っていた多井が早々に9pポンから動き、ホンイツに向かう。赤もあって最低5800、満貫以上の打点も十分に狙えそうだ。

普段は軽い仕掛けをしない多井だけに、この1鳴きで周囲の警戒は一気に高まる。小林は何枚かピンズを切ったものの、生牌の字牌を抱えてトーンダウン。

一方で、堀は手の内がピンズと字牌のみとなり、生牌【白】を切って1シャンテンに。こちらはまごうことなき勝負手だ。

本田は多井がツモ切った【赤5マン】をポン。アガリやすさを求めて愚形のカン【3マン】ターツを払っていく。ただ、打点的には多井・堀と比べると見劣りするのは否めない。

堀がテンパイ、待ち選択はカン【2ピン】。場にピンズが高く、堀のピンズは12巡目で初めての手出し。多井がピンズの染め手模様と考えると、堀にもかなり高い手が入っているように見えるだろう。

だが、本田は【4ピン】を暗刻にしてテンパイを入れると、スッと【3ピン】を切った。もちろん自身の目から3枚見えのワンチャンスだが、それでも怖いところのはずだ。自分の手の価値もない。ただ一方で、【3ピン】さえ通せれば相手の勝負手を蹴れる可能性はそこそこ高く見積もれそう。こういう牌をスムーズに切れるところも、見ていて非常に気持ちがいい。

本田がアガリ切って決着。

打点こそ安く、まだトップ目ではないが、この時点では本田が勢いそのままに押し切ってしまいそうな気がした。

その後は小林が巻き返し、全員が2万点台の接戦になった。南2局2本場、堀の手は【發】暗刻にドラドラ赤のチャンス手。仕掛けが利くが、これをどこから鳴くかは判断が問われるところ。やみくもに鳴いた結果周りに対応され、かえってアガリから遠のくケースもあるからだ。

堀は【2マン】のリャンメンチーから仕掛け、カン【7マン】ターツ払い。通常こうした手の場合、基本的には愚形から鳴いて良形の受けを残すのが良いとされているが、巡目が中盤に差し掛かるとあって、まずは手を進めていく。そして、堀はこの仕掛けで「目立とう」と思ったのだという。あえて好形から仕掛けることで自分を警戒させ、相手が手を曲げて対応する内にアガリきってしまおうという作戦。

各者が堀を警戒しながら打っていくなかで、本田の手が1シャンテンに。カン【5ソウ】ターツを払っていくところで、先に堀の現物【6ソウ】から切った。

その時点で堀は1シャンテンだったが、直後にテンパイ。本田の残した【4ソウ】が捕まってしまった。

絶好の【5ピン】引きが、むしろ最悪の結果に。

8000は8600の直撃、本田はトップ戦線から一歩後退。

本田の頭にはく【4ソウ】から切る選択もおそらあっただけに、悔しい一局となってしまった。

トップ目に浮上し、連荘した堀に、南3局1本場でドラの【白】がトイツという手が入る。もちろん、軽々に切られる牌ではない。

ただ、ここまで整っていれば話は別だ。小林から、1シャンテンの受け入れを最大にするべく打ち出された【白】

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