だった。
白鳥がテンパイをとれば、伊達のアガリで逆転トップだ。
白鳥が選んだ牌は、
だった。
これは後に楽屋動画でも語っていたが、伊達との点差を「リーチ棒が出る前の8700点」と思い込んでいたために、勝又にも満貫が打てないと判断したからだそうだ。
もし、「伊達との点差が実際と同じ9700点」と認識していたら、
「伊達には打てないし、勝又には満貫までなら打ってもいい」と判断して伊達の現物を切っていそうではある。
ともかく、白鳥はでの放銃を回避し、
勝又のツモでこの試合の幕が閉じた。
さて、勝又がツモりあげたこの瞬間の、伊達の表情がエンディングにあった。
それが、
こちらだ。
胸がギュっと締め付けられるような、そんな切なさに溢れていた。
今年度、
MVPを獲得するなどMリーグで華々しい活躍を見せた伊達。
だが、そこまでの道のりは決して平坦ではなかった。
私は、忘れない。
昨シーズンのセミファイナル。
ヒューマンエラーをしてしまった次の登板に、
トップをとって顔をくしゃくしゃにしていた、あの伊達の姿を。
しかし、そのときと比べ、今はどうだ。
うっすら涙を浮かべながらも、伊達の面持ちは、
なんと頼もしくなったことか。
伊達は苦しさや悔しさを自分の糧と出来る選手だ。
この日は、
最後まで本当に悔しそうにしていたのが印象的だった。
「一生忘れない」
と対局の振り返りではワンシーンを表現したが、あの胸の痛みが、この日こみ上げてきた涙が、伊達を幾重にも大きく、強くするのだ。
そして、そんな伊達がチームにいることが、KONAMI麻雀格闘倶楽部にとっての大きな大きな財産となる。
2戦目の高宮も、見る者の胸を打つ、堂々たる戦いぶりをしていた。
この日、格闘倶楽部はチーム全体として、とてつもなく大きな「選手の経験と成長」を獲得したのではないだろうか。そんな思いが私の中に強く残った一日であった。
さあ、ファイナルも残すはあと1日のみ。
大人も子どもも、おねーさんも。
どんな人も「涙を流して悲しみ、両手を上げて喜び、感動出来るもの」それが麻雀。それがMリーグ。
格闘倶楽部は、奇跡を起こして優勝するかもしれない。また、届かず2位で終えるかもしれない。もしかすると、不幸に見舞われて3位以下に落ちるかもしれない。
でも、これだけは言える。
「KONAMI麻雀格闘倶楽部は、今季また、強くなったのだ」
と。
追記
先日、観戦記内で、藤崎さんの解説で「ただ…」と繋ぐ頻度を減らしてほしいというお願いをしたのだが、この日の解説ではすごく回数が減っていたように感じた。と同時に、さらに話が聞きやすくなっていたと思う。
もし、記事を読んで改善してくださったのなら、私のようなプロでもない小僧の意見を取り入れてくださったことに、心から敬意を表したいと思います。ありがとうございました。
今シーズンも「ファンの一人としての気持ちで」また「選手の視点も忘れずに」そして「非プロという私の立場で」好きなように記事を書かせていただきました。読んでくださった皆様、ありがとうございました!
京大法学部卒の元塾講師。オンライン麻雀「天鳳」では全国ランキング1位。「雀魂」では4人打ち最高位の魂天に到達。最近は、YouTubeでの麻雀講義や実況プレイ、戦術note執筆、そして牌譜添削指導に力を入れている、麻雀界では知る人ぞ知る異才。「実戦でよく出る!読むだけで勝てる麻雀講義」の著者であり、元Mリーガー朝倉康心プロの実兄。x:@getawonarashite