期待値計算のQ.E.D.は 最強の栄冠をにて完了とする 園田賢、積み上げた6400点の牙城【麻雀最強戦2023】 Mリーグスペシャルマッチ 観戦記【決勝卓】担当 ZERO/沖中祐也

期待値計算のQ.E.D.は
最強の栄冠をにて完了とする
園田賢、積み上げた6400点の牙城

【決勝卓】担当記者:ZERO/沖中祐也 2023年5月28日(日)

最強戦観戦記20230528

期待値計算のQ.E.D.は
最強の栄冠をにて完了とする
園田賢、積み上げた6400点の牙城

プロローグ

土曜日、私はヴェストワンカップという関西最大の大会で成績を残せず、負けた。
プロになって1年とちょっとの時が経つ。その間に10を超える大会に参加し、いいところまでいったり、いかなったりしたものの、とどのつまり全てに結果を残せず負けたのだ。

勝っていたら日曜日も続けて対局があったのだが、負けたおかげで予定がまるっと空いてしまった。さてどうしよう。勝つつもりで来ていたのでホテルは予約してある。当日キャンセルは100%発生してしまうので泊まるとして、明日はブラリと大阪観光でもするかな。

そんな折に竹書房の担当の方から連絡が入った。
「明日の最強戦の観戦記、お願いしますね!」
…なんのことだ? と一瞬疑問に思ったが、そういえば3ヶ月くらい前に「初日に勝ったら書けないけど、負けたら書きます!」と約束した記憶がある。

よく覚えているな… そんな約束。仕事だから当たり前か。
というか勝つ気満々で全く覚えていない自分に問題があるんだろうな。

重い体を新幹線に放り込み、自宅で最強戦を観戦することにした。
負けた直後ということもあり、正直あまり気乗りしなかった。

期待値計算のQ.E.D.とは

本日の最強戦は「Mリーグ スペシャルマッチ」と銘打った、Mリーガー同士の戦いである。昨年は各チームから選ばれし8人での戦いだったが、今回は

レギュラーシーズンのポイント上位8人での戦いになる。
Mリーグ最強にふさわしい選出方法ではないか。

「期待計算のQ.E.D.は最強の栄冠にて完了とする」

小山さんが読み上げるやたらかっこいいナレーションとともに席に着いた園田が、いきなりらしさを見せる。

「チー」

【北】バックでのリャンメンチー。
鳴いた【1ソウ】はドラとはいえ、これを鳴くMリーガーは少ないと思う。

さらに切った牌が【6マン】である。
すでに【8ソウ】が1枚、【9ソウ】が2枚見えており、シャボ部分は激薄。
何をやっているのかわからない人も多いのではないか。

まずはチー判断。

・ドラをツモ切った高宮(下家)、そして役牌を切り飛ばしている寿人と瑞原も早そう
・一方で自分の手を見てみると1メンツもない

ということから鳴かないと間に合わないと判断。
さらに打【6マン】に関しては

・マンズの下を三者が切っており、【3マン】が良さそう
・遅いのは変わらないのでブクブクに構えるほどではない

との判断で、危険な【6マン】を先に逃したのだ。

予定通り親の高宮からリーチが入り、ためていた安全牌を放出していく。
「チー」

一度切ったフリテンターツをチー。
この【5マン】をチーして、あと2巡の間に【1マン】【4ソウ】にくっつけば勝負するに値する。
出ていく【1マン】はワンチャンス、【4ソウ】は中筋である。

信条は「やれることは全部やる」。

【4ソウ】【2ソウ】をくっつけた園田の手牌が開けられる。
こういうルートまで見越して【1ソウ】をチーした上で、【6マン】を切ってスリムに構えたのかもしれない。

「チー」
今度は意外な人が声を上げた。

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