この場面だ。
寿人は、
打とした。
5トイツなので、七対子のイーシャンテンはキープ。ただ、メンツ手へのわたりもあるので、ツモやツモに備えては残した形だ。
そして、ここに寿人の「速さ」の秘訣があると思うのだが、寿人は打の段階で「次に何をツモったらどうするか」「何が出たらどうするか」のシミュレーションが終わっているのではないだろうか。
例えば、「が出たらどうするか」「を引いたらどうするか」などを考えておく。
この段階で、そのような「未来をまとめるため」の時間をとることによって、
ノータイムで、
話題となった、この単騎リーチが打てるのであろう。
「下家の茅森がを早い段階で切っている」
「が合わせ打たれると、出アガリも期待出来る」
「これよりいい待ちに変わるには巡目がかかるので、親のここは即リーチ」
といった情報の収集や自身がどうするかといった予定決めも、とうに終えているのだ。
もちろん状況は変わりゆくものなので、他家の切り番でも、頭はフル回転をさせねばならない。
ただ、寿人の打牌速度が優秀なのは、動作や思考能力に優れているだけではなく、「前の分岐」や「回ってくるまでの時間」といった「考えるべきときに思考を済ませているから」という面が大きいだろう。
このリーチは流局。
続く親番では、
バラバラの手牌から国士に向かい、
ノータイムで、
終盤にを手出し。
「もしかしたらテンパイしている…?」
と存在感を出すことも忘れない。
この局は全員ノーテンとなった。
南3局2本場に、
松ヶ瀬がノータイムで切ったのは、
ドラのだ!
がアンコになって役アリとなったここで、ズカリと前に出る。
「リーチ」
勝負を決めにいった!
ここで面白いのが、松ヶ瀬のリーチに対しての菅原の対応が、他家の選択に影響を与えていることだ。
菅原は、
役なしのカンテンパイで、一発目にを押し、
続けて、
無筋のもプッシュ。
さらには、
これも危険牌のを切り飛ばしていった。
他家視点からは、テンパイに見える押しっぷりだ。
だからこのあとに、
松ヶ瀬の当たり牌であるを止めた寿人が、でオリたのも、リーチにが切りにくいだけでなく、菅原の押しを警戒してのことだろう。
さらに、打速に定評のある茅森がゼンツモードだったところで少考し、
フリテンのターツを残してマンズ三面張を嫌ったのは、ずっとツモ切りだった菅原にが通っていたことが大きいように思う。
この局は、
追いついた茅森が現物のを切って追いかける!
ソウズの上目が安く、巡目が少ないことからの安全策、というのが理由としては大きそうだが、
これを一発ツモ!