「チー」
多井がこのドラを仕掛けた。
なんと、手の内にはドラがさらに3枚あった。を切って、タンヤオドラ4赤のハネ満1シャンテン。
茅森がリーチ。
今回も安い。
多井がチー。
こっちは明らかに高い。
それでも勝てばいいのだ。ファンが会場から声援を送るが…。
茅森がまたもつかんでしまい、多井に12000を放銃。
「あぁ…」会場中が落胆する。
南2局にはトップ目の岡田からドラドラの3900を直撃して一矢を報いるも、
南3局には形式テンパイから多井のドラドラの満貫に捕まり、万事休す。前巡のを残してリャンメン待ちにせずにを狙った多井が見事だったが、こういう牌をつかんでしまうこととも含め、茅森にとってはあまりに厳しい一戦となってしまった。
対局後、控え室に戻ってきた茅森は、会場と映像をつないで試合を振り返った。
「安い手はアガれるけど高い手はアガれなくて、高い手にいっぱい放銃した…」
もちろん本人は辛いだろうが、その思いを直接ファンと共有し、痛みを分かち合えるのも、PVイベントの醍醐味の一つだ。
そう、チームPVイベントの一番の魅力は、「同じ思いを持つ人たちと喜びや悔しさを分かち合えること」にある。麻雀は野球やサッカーのように現場で直に応援することはできないし、Mリーグの公式イベントだとチームの垣根を越えて交流できる分、会場全体の一体感はやや出にくいところがある。
一方でチームPVは、同じチームを応援する仲間たちのみが集まっているので、一体感は抜群。また、同じチームのファン同士で交流を図ることもできる。そして会場には選手が解説として入ってくれて、ここでしか聞けないこぼれ話なども楽しめるだろう。
また、チームのファングッズを購入できたり、スポンサー製品をゲットできたりもする。チームを応援する思いを、直接伝えられる場は貴重だ。
今シーズンは、11月24日より始まる「esportsパーク RED°TOKYO TOWER」とのコラボレーションイベントで、チーム応援パブリックビューイングも実施される。過去に有観客PVがなかったチームのものもあるので、各チームの方にはぜひ足を運んでいただき、大勢でチームや選手を応援する楽しさや興奮を分かち合っていただきたいと思っている。
さいたま市在住のフリーライター・麻雀ファン。2023年10月より株式会社竹書房所属。東京・飯田橋にあるセット雀荘「麻雀ロン」のオーナーである梶本琢程氏(麻雀解説者・Mリーグ審判)との縁をきっかけに、2019年から麻雀関連原稿の執筆を開始。「キンマweb」「近代麻雀」ではMリーグや麻雀最強戦の観戦記、取材・インタビュー記事などを多数手掛けている。渋谷ABEMAS・多井隆晴選手「必勝!麻雀実戦対局問題集」「麻雀無敗の手筋」「無敵の麻雀」、TEAM雷電・黒沢咲選手・U-NEXT Piratesの4選手の書籍構成やMリーグ公式ガイドブックの執筆協力など、多岐にわたって活動中。