卓上は
美女と美男と野獣の共演!
円熟味を増していく
岡田紗佳の戦い
文・ZERO / 沖中祐也【火曜担当ライター】2024年2月27日
レギュラーシーズンも残り20試合を切った。
Mリーグの中でもこの期間は、ショートケーキにおけるいちごであり、ピザポテトのチーズが固まっている部分であり、茶碗蒸しの底に眠っている銀杏である。
つまりは一番美味しい部分なのだ。
まして今シーズンは、セミファイナル進出ボーダーの6位に下位4チームがひしめき合う大混戦。
この夜、生き残りをかけた戦いへ向かったのは美女と野獣だった。
実況:松嶋桃
解説:河野直也
世界は変わる
東1局、美女の先制リーチに美女の手が止まる。
おそらく岡田は親リーチが入る前「はポン、ドラのもポン、ピンズは鳴かない」と決めていたはずだ。
だが、リーチはgeme changed。
やり手の起業家のようにかっこつけて英語で言ってみたが、ようはリーチは世界を変えるのだ。
テンパイを宣言されることは打牌に放銃負荷をかけ、また終局まで暇がないことを意味する。
ここでの切り替えが人間にはなかなか難しい。
岡田だって、この手牌を持ったときはサクッとメンゼンでテンパイしてマンガン~ハネマンをアガれそうとイメージしていたはずだ。
だが、ゲームは変わった。
岡田はそのことをしっかり吟味する。
全く鳴く気のなかった。でも、もう悠長にメンゼンテンパイを目指している時間は…
ない。
チーして一発を消しつつを勝負。
イーシャンテンでは押しづらい牌も、テンパイなら見合うか。
こうして、中田の一人旅になりえた東1局は
岡田の3900キックで幕を閉じた。
手拍子でもなく、感情でもなく、しっかりと思考を詰め込んだ捌きの鳴きに、もうベテランの風格すら漂う。
先日誕生日を迎えたという岡田。
サウナの中にあるテレビで見かけてももう驚かないくらいの活躍ぶりである一方、麻雀も円熟味を増してきて見事二足のわらじって履きこなしている。
この3900に続き東3局では
滝沢とのリーチ合戦を制してリーチ・・ドラ・赤の8000をアガり、トップのまま東4局を迎える。
中田花奈という偶像
麻雀は思考のゲームである。
いつだったか、土田が萩原に「中田さんどうですか?」と意地悪な質問をしたことがあった。
萩原は「他チームのことなんで何も言えないですが…」と前置きした上で、「大事なのは自信を持つこと」と語った。
「今は無理やり早く打っているだけで、実は自信がなくて迷っている」と中田の内面を見抜いていたのだ。