卓上は美女と美男と野獣の共演! 円熟味を増していく 岡田紗佳の戦い【Mリーグ2023-24観戦記 2/27】担当記者 ZERO / 沖中祐也

私も過去に中田の早切りに関して言及したことがあった。

鮮やかなドラ切りからの逃走劇 軍神・勝又の完璧なる半荘【Mリーグ2023-24観戦記 12/26】担当記者 ZERO / 沖中祐也

私同様、同じように感じていた人は多かったと思われる。
萩原の指摘に対し、中田は「自分では気づかなかった」と語った。

ふと思った。
中田花奈は根っからのアイドルなんだろうな、と。

ウィキペディアを開くと、中田の趣味はアイドルと書いてある。
アイドルが好きで公演に何度も足を運び、とうとう自分がアイドルそのものになった。
「アイドルはパフォーマンスしてなんぼ」という考えが根底にあるそうな。

アイドルは、どんなに辛いことがあってもステージの上では笑顔を振りまかなくてはいけない。
ファンの前で常に元気でかわいい偶像を演じ続けなければ、生き残っていけないのだ。

そんな世界で中田は10年以上一線を張り続けてきた。

Mリーグの舞台でも、中田の無意識下で「パフォーマンスしてなんぼ」という考えがこびりついていたのではないか。
歴戦のトッププロの中でも、互角以上に戦えている偶像を演じなければならない。

そう思っていたからこそ、周りに合わせるように打牌していたのだと私は推測する。

しかし卓上は全く別物だ。
勝ったものが得て、負けたものが失うという純粋な世界においては、何を切ったかが全てであり、翻っては思考プロセスが大切なのだ。

萩原の指摘に感銘を受けたという中田は、それ以来、卓上でしっかり思考し、しっかり選択するようになった。開幕当初からすると大きなミスも減ったように見える。

そうした土壌を踏まえて… である。

「リーチ」

中田はツモ牌を確認するやいなや、ノータイムで発声した。

ドラ【7マン】のカンチャン待ち。
先ほど、思考が重要と語ったが、ノータイムが重要な場面もある。

そのうちの1つがこのような愚形リーチのとき。
これを迷うと、迷ったことを理由に押し返されることがままあるのだ。

中田は安全牌の【南】を切ったノータイムリーチ。
周りからは十分形にしか見えていないはずだ。

それを踏まえた岡田の選択。

岡田はこの【7ピン】を押した。

中田の待ちが良さそう、自身はトップ目で二枚見えのカン【6マン】待ち、なにやら親の滝沢も押している… こう考えるとオリに気持ちが傾いてしまいそうなものだが、アガれば決定打になりうることから、ここが勝負どころと岡田は押したのである。

結果的にはオリることにはなったし、中田もアガれなかったのだが、美女同士の見ごたえのある攻防だった。

136枚の牌を吸収した牌がガラガラと音を立てる。

こうして南場に突入し、南1局は岡田が

ダブ【南】・ドラ2というあまりにはやい8000をアガり、トップの足固めに成功。

迎えた南2局が本日のクライマックスである。

蘇った剛腕

まずは滝沢から先制リーチが入ったあとの岡田の対応に注目。

リーチの一発を受けて【赤5ソウ】をツモってきた。
くっつき形なので自分の都合だけで考えると【2ソウ】を切りたいところだが、ドラが【1ソウ】ということもあり、もろひっかけとなる【2ソウ】は少し切りづらい。

だが、岡田はここでも思考を止めなかった。

ツモられても半分支払うことになる親、そして放銃してしまったとしても自分以外の3人が2万点付近に並ぶことで2位を狙うアガリを誘発しやすくなる=自分がトップを取りやすくなると考えられるかもしれない。

という放銃リスクが小さめな一方、アガれば決定打になる!

こうして岡田は一発で【2ソウ】を押した後に

【6ピン】【2マン】【3ピン】と立て続けに押していく!

続いて松ヶ瀬の対応だ。
まずは滝沢からリーチが入る前の手牌、松ヶ瀬はここから【9マン】を切った↓

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