テンパイ枚数だけで考えるとは絶対切ってはいけない牌。
ただ、ラス目ということもあり打点がほしい局面。
を切ることで、ドラの重なりと…
ピンズの伸びを両方残すことができる!
の部分が伸びることによってイーペーコーと678の三色が期待できるのだ。
こうして滝沢のリーチを受けた一発。
松ヶ瀬はをツモってきた。
どうせしばらくは押すから、このからぶっ放してもいいのかもしれない。
だが松ヶ瀬は
冷静にを切った。
をアンコで使うテンパイは打点的魅力に乏しいので、わざわざ一発放銃の抽選を受けるまでもない。
一発をで凌いだあと…
両面をツモったら勝負だ!
リーチを宣言する松ヶ瀬の野太い声が会場に響く。
2年間不調らしい不調のなかった松ヶ瀬が、今シーズンまさかの-406.7の最下位に沈んでいる。
チームも苦しんでいる中、なんとかしたい。
たくましく鍛え上げられた右腕が牌山に伸びる。
ツモる気しかしない力強いモーション。
風をきる音。
その瞬間、頼もしい松ヶ瀬が帰ってきたように見えた。
松ヶ瀬、復活の狼煙を上げるかのような2000/4000が炸裂。
しかし迎えた親を岡田がサッと流し、
サクラナイツのトップで終局。
「爆運でした」
と謙虚に語る岡田だが、たしかに恵まれた部分はあったものの東1局の捌きや道中の押しに揺るがない安定感を見た。
成長を続ける中田、円熟味を増す岡田、復活の兆しをみた松ヶ瀬… まさに美女と野獣の共演をみた半荘だったが、二戦目では風林火山の亜樹がトップをとり
6~9位の差はさらに縮まる結果になった。
MVP争いを含め残り16戦、悲喜こもごものドラマがうまれる濃縮したラストバトルが始まる。
麻雀ブロガー。フリー雀荘メンバー、麻雀プロを経て、ネット麻雀天鳳の人気プレーヤーに。著書に「ゼロ秒思考の麻雀」。現在「近代麻雀」で戦術特集記事を連載中。note「ZEROが麻雀人生をかけて取り組む定期マガジン」、YouTubeチャンネル「ZERO麻雀ch」