熱論!Mリーグ【Thu】
最善の先に見えた無情…
もがき続ける
渋谷ABEMASの苦悩
文・真中彰司【木曜担当ライター】2019年1月10日
2019年も10日が過ぎ、Mリーグも2019年の3日目を迎えた。
世間の人々も年始モードから日常モードへと戻ってきたような今日この頃。
MリーグではドリブンズとABEMASが今年初試合。ドリブンズは首位を固めるべく、そしてABEMASはプラス域に戻るべくポイントを伸ばしたいところ。
特にABEMASは是が非でも上位に返り咲きたいところだろう。
残り試合数はあと20試合弱。ここで少しでも稼いでおかないと、最終盤に熾烈な4位争いに巻き込まれてしまうことになるからだ。
そんな苦境のチームを救うべく、ABEMASはエース多井が先発で出場。
【第1試合】
東3局1本場。リードしている村上を追いかけるべく、親の多井は連荘して点数を稼ぎたい場面なのだが…
朝倉のリーチを受けながらも、最速の手順でリーチを打ったり…
(結果はアガリ牌をツモれず、2人テンパイで流局)
薄いと読んだターツをチーしてテンパイを組み、村上の親を流したり…
と、手順や判断は噛み合っているのだが、決め手がなかなかアガれない。
放銃していないのにツモで削られる、ABEMASファンにとっては嫌な展開だ。
そもそもドリブンズと風林火山は現時点でポイントを持っているため、リスクの高い勝負はまずしない。安い手なら降りて、チャンス手のみ狙っていけば良いのだから。
要は選択肢の時点でABEMASと差がついてしまっている。
さらに、今のABEMASの状況を表したような局面が、南3局だった。
このバラバラな手牌からをポン。
普段の多井なら、1枚目はスルーしてより打点や好形を追求していったはずだ。
「何が何でも連荘しなきゃいけない」という、多井の気迫が伝わってくる。
だがしかし、こののポンは見ている者の度肝を抜いただろう。
受け入れ自体は広がるが、雀頭を無くしてしまうポン。私の知る限り、多井がこんなポンをしている場面はほとんど見たことが無い。
気迫というより、焦りが前面に押し出されたような印象を受ける。
実はこのポン、朝倉がを打ってから発声までに少々間があった。
(画像は発声を聞いて慌ててツモ動作を止める村上)
最初からポンしようと決めていたわけではなかった。多井が迷い、もがき苦しんでいるのを表現するかのような、絞り出すトーンでの発声だった。
さらにを加槓して、必死にテンパイへと向かう多井。
手牌は思うように進まず…それでもアガリを目指して突き進む。
次巡に掴んだのは明らかに不要な、2枚切れの…もちろん躊躇なくツモ切った。
ところがなんと、これが朝倉のチートイツの当たり牌。
しかも加槓で増えたドラのせいで、6400の放銃となってしまった。
悲しみに暮れる多井。苦しい中でも最善に見える選択を取り続けたはずなのに、放銃に回ってしまう…麻雀とはなんと非情な競技だろうか。
オーラスのリーチも実らず、最終的に多井は大きなラスを引いてしまった。
その無念を晴らすべく、第2試合には白鳥が出場。ポイントを回復できるか?
【第2試合】
去年最後の試合では見事にトップを獲得した白鳥。アベマズの後退を食い止めるべく、親番で元気よくリーチを打っていく。
しかし、この5枚残りのアガリ牌は一度も顔を見せず、たろうが残り2枚のフリテン待ちをツモって親が流れるという展開に。
たろうのアガリ形を見つめる白鳥の表情は、どこか切なげに見える。