アガリ牌、供託、そして勝利
園田賢は全てをさらう
文・東川亮【火曜担当ライター】2025年1月14日
大和証券Mリーグは、中盤戦を過ぎてかなり縦長の展開となっている。その先頭を走るのが緑の精鋭、赤坂ドリブンズ。
特筆すべきは4選手全員がプラスを記録し、プラスの一番小さい鈴木たろうですら1月14日の試合前の時点で90ポイント強、並の1トップ分以上を稼いでいるという、チーム全体の安定感である。
個人に頼らず満遍なく勝つというのは、チーム戦において最も安心できる。
まさにMリーグの全てを奪おうかという赤坂ドリブンズ、その強さはこの日も存分に発揮された。
第1試合
北家:高宮まり(KONAMI麻雀格闘倶楽部)
第1試合は全13局中流局が6回とアガリの出ない局が多かったが、なかでも東1局は興味深い局となった。
高宮の第1打。
字牌2枚からの選択で、1枚切れのから切る。手が悪ければ受け駒候補として残したい牌だが、自身は2メンツ1リャンメンでドラもあり、この手は守備よりも攻撃ということか。
直後、園田の手にが重なるが、既に2枚切れ。もし高宮がを1巡残していたら、園田はほぼ間違いなく鳴きを入れていて、局の結果は大きく変わっていたはずだ。もしかしたら、試合の結果も。
高宮の手は456三色が狙える形に。ドラが雀頭で赤もあり、仕上がれば超高打点が見こめる。
本田も形がいい。いろいろな選択があるなか、二度受けが残る一気通貫は見切り、タンヤオ仕掛けも視野に入れながらの進行。
引きはやや裏目と見えなくもないが、それでも一歩前進には変わりない。受けの広い1シャンテンに。
全員が1シャンテンという状況で、テンパイ一番乗りは本田。引きはピンフが崩れるが、本田は単騎待ちでリーチと打って出た。を切っていて、はいわゆる中スジ。この判断に時間をかけず、迷いなくやれるところがいい。
1シャンテンの高宮には、テンパイしない無スジが押し寄せる。
もちろん押したい。押し切ってアガれば見返りは大きいが、自身の手はまだテンパイですらない。果たしてアガれるか。
時間をかけながらも、しっかりと押していく。ノータイムでバシバシ切っていくのも気持ちがいいが、大事な場面でしっかりと考え、それでも攻める決断をするのは見ていて面白い。
雀頭を探していた瑠美は、それが決まらないままテンパイとなった。ただ、こちらはイーペーコーが完成しているのでそのままアガれる。
高宮が追いついた。三色は崩れたが、それでもドラドラ赤で高い。カンは序盤から狙っていた牌であり、リーチの本田の現物にもかかわらず切られていないことから、山に残っている可能性は高そう。実際、残り3枚は全て山にあった。
瑠美の待ちもに変化、3人テンパイで巡目が少ないながらもアガリが出そうな状況に、園田もポンの声で割って入る─
と言いたいところだが、こちらはテンパイにはほど遠い。既にオリていて、ポンはリーチの本田からハイテイをずらす鳴き。
鳴いてツモがズレた次巡、園田の元にやってきたのは。鳴かなければ高宮のツモアガリ、いわゆる「食い取った」という形。もちろん結果論だが、それを楽しんだっていいじゃないか。
3人テンパイで流局。園田は親番での1人ノーテンが本当に嫌だそうだが、そこでも存在感を見せていくのが面白い。
そこから試合は3局連続で流局。東3局の段階で4本場供託5、という大量加点チャンスが訪れていた。なお、供託の内訳は本田が3に高宮が2。
しかし、それは園田がさらっていった。1巡目に自風を鳴いたところから早々に3メンチャンテンパイを入れて、瑠美から出アガリ。1000点のアガリだが収入は7200点と満貫クラス、これをアガれたのは非常に大きい。
その後は高宮、本田が親番で満貫をアガり、局は南3局に。中盤、園田はを引いてチートイツの1シャンテンとなったが、トイツのを切った。この手がチートイツテンパイになるときは、単純確率3分の2でマンズ引きとなる。そのときはチンイツの1シャンテン、赤もあり、仕掛けてハネ満になる手のほうが価値は高いということで、そちらのルートを色濃く見た。もちろん、カンを引いてのピンフテンパイでも満貫が見えるので大歓迎だ。
ペンチーで1シャンテンに。
鳴く前からマンズの理牌を変えているのも園田らしくていい。
これをあっさりテンパイさせ・・・