白鳥翔・二つの選択 選ばれなかった役満と、まだ見ぬ優勝の行方【Mリーグ2020ファイナル観戦記5/13】担当記者:東川亮

白鳥翔・二つの選択 

選ばれなかった役満と、

まだ見ぬ優勝の行方

文・東川亮【木曜担当ライター】2021年5月13日

以前、白鳥翔はこんなツイートをしていた。

麻雀は果てしなく続く選択のゲームだ。

全ての選択を完璧に的中させたいのはやまやまだが、そんなことができる打ち手など存在しない。

朝日新聞Mリーグ2020ファイナル。

選手の選択一つひとつが、チームの結果を大きく左右する。

この日の第1回戦、白鳥翔には大きな二つの選択が課せられた。

5月13日 第1回戦

東家:白鳥翔渋谷ABEMAS

南家:岡田紗佳KADOKAWAサクラナイツ

西家:園田賢赤坂ドリブンズ

北家:滝沢和典EX風林火山 

東1局

親の白鳥は配牌で【白】【發】トイツ。

 

1巡目から【發】を仕掛けると、すぐに【白】も鳴いた。

こうなると可能性は低いとはいえ役満・大三元がちらつくだけに、【中】はおいそれと切れない。

白鳥としては、そうした相手の対応も含めての仕掛けだろう。

この時点で、【中】は誰も持っていなかった。

山に全て残っている、その1枚目を白鳥が持って来る。

巡目が深くなるほど、周囲へとかかるプレッシャーは1巡ごとに大きくなる。

白鳥以外の3者が【中】を1枚でも引いてしまえば、迂回せざるを得ない。

また白鳥の手出しも多く、周りから見ればすでにテンパイが入っている可能性も十分あり得る。

故に、全員がオリ気味の手牌進行。

この局は白鳥の一人旅に見えた。

捨て牌2段目も終わろうかというところで、白鳥の【9ソウ】引き。

テンパイへの受け入れは、

【中】を残すと【4ソウ】【7ソウ】【4マン】【7マン】【中】

【9ソウ】を残すと【4ソウ】【7ソウ】【8ソウ】【9ソウ】【4マン】【5マン】【6マン】【7マン】と格段に増える。

そもそも、この巡目で全員が受け気味に見えるだけに、【中】はすでに持たれている可能性が高い。

それなら目先の【白】【發】ドラドラ赤での、満貫・ハネ満のアガリを目指す。

理にかなった選択のように思えた。

しかし、まさか山に【中】が2枚残っており、しかも両方とも自分が引いてこようとは。

もし【9ソウ】切りの場面で中を残していたならば

【5マン】【6マン】【赤5ソウ】【6ソウ】【7ソウ】【7ソウ】【中】

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