白鳥翔・二つの選択 選ばれなかった役満と、まだ見ぬ優勝の行方【Mリーグ2020ファイナル観戦記5/13】担当記者:東川亮

【5マン】【6マン】【赤5ソウ】【6ソウ】【7ソウ】【中】【中】

【5マン】【5マン】【赤5ソウ】【6ソウ】【7ソウ】【中】【中】

と手牌が変化し、大三元ツモ、16000オールの未来があり得た。

それでも白鳥は高目ハネ満のテンパイではあったのだが、手を崩しきらずに進行してテンパイしていた滝沢にカン【6ソウ】待ちをツモられ、ツモタンヤオドラの1000-2000。

役満どころか、まさかの失点スタートとなった。

上記の比較で言えば、6:4どころか9:1くらいの選択だったと思う。

たとえば、現状4位のドリブンズのメンバーであれば、一撃を狙って役満の可能性をギリギリまで残したかもしれない。

だが、白鳥のチームは現状首位のABEMAS。

可能性の低い役満より可能性の高い満貫・ハネ満を見るのは、チームのことを考えれば当然と言ってもいいだろう。

しかしそれが裏目になるのも、麻雀である。

 

その後、白鳥は東4局に園田、南1局に岡田と連続で8000を放銃。

このような点数状況でオーラスを迎えた。

滝沢:44000

園田:27900

岡田:21400

白鳥:6700

白鳥の手牌は2巡目で、ダブ【南】がトイツにドラ【3ピン】と赤が1枚。

満貫の材料はそろっているが、この状況ではアガり方が問題だった。

岡田からの出アガリであれば、サクラナイツとの着順を逆転できる最高の結果に。

ツモ、あるいは滝沢からの出アガリなら着順は動かないが、最低限の素点回復。

難しいのが、園田から出たケースだ。

園田からアガると岡田が2着に浮上して試合が終わるため、サクラナイツの順位点が-10ptから+10ptとなる。

つまり満貫の8ptを加えても、差し引き12pt分サクラナイツとの差が詰まってしまうのだ。

もし満貫の手になった場合、園田からだけは見逃すことが考えられた。

白鳥の理想は、岡田をまくれるリーチツモダブ【南】ドラ赤のハネ満。

だが、【南】は岡田が1巡目に処理している。

岡田としては白鳥への満貫放銃は避けたいだけに、先に打点の種を処理した格好だ。

 

残り1枚の【南】は園田の元に訪れていた。

重ねたかったが、自身の手がまとまってきたところで河に放つ。

白鳥はこれを鳴かないとアガリそのものが遠くなるだけに、鳴かざるを得なかった。

これでカン【4ピン】待ちのテンパイ。

こうなると、難しいのは岡田だ。

自身の目からドラが全く見えていないだけに、白鳥に対してうかつな牌は切れない。

だが、自身の手はピンフ赤のイーシャンテン、リーチをしてツモれば1300-2600で園田と同点の2着になる。

一発や裏で満貫になる、あるいは園田から直撃できれば単独2着に浮上だ。

ファイナルの局面で、1着順アップの価値は非常に大きい。

岡田は最終手出し【3マン】の白鳥に対し、【1マン】をツモ切り。

次巡はソーズが連続形になる【4ソウ】を引き、ドラ表示の【2ピン】を手出し。

白鳥のスジではあるが完全な安パイではないし、ドラそばで怖いことに変わりはない。

岡田は放銃リスクを承知の上で、アガリを狙っている。

直後、園田が【4ピン】切り。

筆者は見逃すかと思ったが、白鳥は手牌を開いた。

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