アキナ・イリュージョン
文・ゆうせー【木曜担当ライター】2023年11月9日
去る10月23日。
「前へ、もっと前へ」
“パチン”
と、その手をはたかれ続けた瑞原明奈。
膨れ上がったマイナスは、
-93.7。
そんな彼女をPiratesのチームメイトは、
「ツイてなかったけれど、何個かミスはあった」
と迎えた。
展開は展開、ミスはミス。
厳しい試合だったとしても、改善点をそのままにしておくことはしない。
試合が終わって、記憶が熱を帯びているうちに、仲間同士で指摘し合い、次につなげていく。
これが、Mリーグ発足から続く、U-NEXT Piratesの姿勢だ。
その様子が発信されることで、Piratesクルーは成長していくチームを、まるで「物語を読んでいるかのように」応援出来る。
あれから2週間が経った。
髪も切った。
さぁ、久しぶりの登板だ。
瑞原は、前試合の重たい幻影を打ち払い、勝利を持ち帰ることが出来るだろうか。
第1回戦
東家:瑞原明奈(U-NEXT Pirates)
南家:瀬戸熊直樹(TEAM RAIDEN / 雷電)
西家:魚谷侑未(セガサミーフェニックス)
北家:鈴木たろう(赤坂ドリブンズ)
そんな、
ボブ原明奈。
いや、瑞原明奈は、
東場から丁寧な入り方をしているように見えた。
東2局、瑞原は、
この手で、直前に出た2枚目のを見送っている。
鳴いてイーシャンテンとする手も有力だ。
を払えば、好形確定のイーシャンテン。ドラを使いたければ、マンズやソウズのリャンメンを払う手もある。
ただ、河を見る限り「先手が取れるか相当微妙」な状況なのだ。
立体図で見ると、
第一打がである魚谷を筆頭に、全員真っ直ぐ手を進めている。
使い勝手のいい3〜7の数牌を全員が複数枚切っているので、速度感もある。
よって、瑞原がここで鳴いてイーシャンテンに取ったとて、先んじてアガれると考えるのは楽観的だろう。
しかもをポンするルートをそれぞれ考えると、ピンズを払えばドラを切るリスクが伴うのにもかかわらず、自身の手は2000点止まりだ。
ドラを使うとしても、ソウズを払うと上下の安全牌が少なくなり、が手から消えることと合わせて守備力の低下が著しい。マンズリャンメン落としは受け入れ枚数がネックだ。
つまり、仕掛けるにはどのルートも微妙なのだ。
ならば、を安全牌として抱え、門前でテンパイしたときには打点で勝負しよう、というスルー戦法である。