熱論!Mリーグ【Thu】
電光石火の初手ポン!
門前高打点派・
萩原聖人が見せた奇襲
文・東川亮【木曜担当ライター】2020年1月23日
筆者はここ数戦、萩原聖人(TEAM雷電)の麻雀にやや違和感を覚えていた。
いくつかある中で特に印象深かったのが1/20の第2回戦で見せた、ポンからのソーズ落とし。
周りがそれほど早そうには見えないということから染め手に向かう猶予があると判断したのかもしれないが、それでもまだ親番が残っている状況で、テンパイにもかかわらずの出来メンツを払ってまでホンイツ、あるいは大三元に向かうのは、少々やり過ぎではないかと感じた。
結果的にこの局は先手を取れず、親の勝又健志(EX風林火山)が内川幸太郎(KADOKAWAサクラナイツ)から12000を出アガリして2着すら遠くなり、この試合で4着に沈む、という結末を迎えてしまった。
手役・打点を追う萩原の麻雀は、それが決まったときにはインパクトが大きく、ファン・サポーターに爽快感をもたらすものだ。
しかし、それが勝利に直結しなくては意味がない。
萩原が登場した、1/23の2戦目。
ほおを叩く、チームメイトの瀬戸熊直樹のようなパフォーマンスを見せた彼は、試合でも興味深い選択を見せてくれた。
2戦目
東家:茅森早香(セガサミーフェニックス)
北家:朝倉康心(U-NEXT Pirates)
萩原は試合の序盤から積極的にリーチを打っていった。
東1局、東1局1本場でのリーチは空振ったものの、
東2局3本場、三色崩れのカン待ちリーチをツモって2000-4000は2300-4300に仕上げた。
は滝沢が3枚持っていたのだが、残り1枚でもツモれるときはツモれるものだ。
その後、滝沢が3000-6000をツモって迎えた東4局。
朝倉は6巡目に萩原の打ったを鳴いて待ちのチンイツテンパイ。
萩原はアガリ牌のを吸収してイーシャンテンを組んだが、2枚目のを引いた時点であっさりと現物のトイツ落としに入る。
マンズの染め手模様の朝倉がマンズの下目をツモ切っているので、などは相当切りにくいところだ。
直後に茅森がカンをチー、こちらはピンズのチンイツテンパイ待ち。
萩原もペン待ちテンパイで追いつき、生牌だったを勝負してリーチをかけた。
染め手の朝倉からかなりの確率で「ロン、12000(ダブ・ホンイツ)」の申告があってもおかしくない牌だったが、行くと決めたら危険牌でも真っすぐ打ち抜く様は、なんとも萩原らしい。
この局は茅森がをツモって3000-6000。
南2局はマンズのホンイツに向かった萩原、待ちチートイツのテンパイが入っていた滝沢に対し、朝倉がを勝負してを使い切った待ちリーチをし、をツモって3000-6000。
激しく点棒が行き来する展開で、萩原はラス目で親番を迎えることになった。
南3局、萩原は親番で先制のリャンメンリーチを打つと、
ツモって裏ドラを2枚乗せ、6000オールで一気にトップ目に立った。
親のハネ満ツモは強烈なのだが、このアガリ自体はおそらく多くの人が同じ結果になっていたと思う。
人によって大きな差が出そうな、そして萩原が意外な一面を見せたのは、次の局だ。
萩原の配牌はがトイツ、赤・ドラのターツもあり、容易に満貫以上が見える形。
しかし、萩原は朝倉の第1打から仕掛けた。
これは、鳴くことが少なく、門前での高打点を目指す打ち手がそろったTEAM雷電、そして萩原のイメージとはかけ離れた鳴きに感じた。
本人曰く
「打点は下がるがここの5800は大きいと思った、瞬間的に声が出た」
とのこと。
しかしそうは思っていても1巡目でが打たれるようなケースはまれであり、しかも下家から出た牌ということで、判断のタイミングは一瞬だった。