紫電一閃!
震える指先で掴んだ
瀬戸熊直樹のヘル・ウェイティング
文・ZERO【火曜担当ライター】2021年11月2日
南3局、箱下の瑠美を除く3選手によるトップ争いは、熾烈を極めていた。
ABEMAS・松本吉弘は今度こそ逃げ切りたかった
40400点を持っていて、この親さえ流せばトップ濃厚となる松本は必死だった。
松本はここ2戦、連続してオーラスでのトップ逆転を許していたのだ。
(また同じようなチャンスの展開がきた。今度こそトップを取りてぇ)
乾きにも似たトップへの思いが、松本を突き動かしていく。
「ポン」
「チー」
ダブとカンと2フーロした松本の手牌がこちら。↓
イーシャンテンと言っていいのかわからないくらいには受け入れが狭い。
さらに安い上に、1枚たりとも安全牌はない。
松本は、狭い・安い・危険と三重苦の手牌を悟られまいと、次巡以降ツモや打牌モーションを早め、オーラを出していく。
三重苦とか関係ねぇ! この局はなりふり構っていられないんだ!
この松本の仕掛けを受け、困ったのが上家の魚谷だ。
フェニックス・魚谷侑未は思考の海にダイブした
をツモってきた魚谷の手が止まった。↓
ドラドラとチャンス手だが、チートイのイーシャンテン・メンツ手の2シャンテンと、どちらにしても微妙で、さらに下家の松本がどうしてもアガリたいオーラを解き放っている。
苦悶の表情を浮かべる。
魚谷はこの日11月2日に誕生日を迎え、バースデートップなるかに注目が集まっていた。
少しだけここまでに至る経緯を見てもらいたい。
東2局。↓
魚谷はここからを切った。
カンを残すかのシャンポン部分を残すかという選択だが、受け入れ枚数自体は変わらない。
しかし、変化の枚数で言うと雲泥の差がある。
カンチャンを残すとツモで良い形になるくらいだが、シャンポンを残すとで強い形になる。
さらにいつでもかわし手としてポンできるのも大きい。お手本のような2ヘッド打法だ。
狙い通り…
ドラをキャッチ! を切って打点と受け入れが大幅にアップした。
強い意思を感じたのは直後である。
瀬戸熊からが打たれた…!
スルーした!
魚谷は12巡目のポンテン3900を拒否したのである!
おそらくドラをツモる前は、ポンしたはず。
をツモったことにより、かわし手から超勝負手に認定したのだ!
目まぐるしく変わる荒波に対し、柔軟に泳ぎきっていく。
その意思に応えるように…
を切って…
をポン!
待ちの満貫となった。
しかし、この局は惜しくも流局。