紫電一閃！ 震える指先で掴んだ瀬戸熊直樹のヘル・ウェイティング　【Mリーグ2021観戦記11／2】担当記者：ZERO

さらに印象的だったのは南１局。

魚谷はここからを切った。

配牌からツモが効かず、とてもアガれそうにない。

字牌… 特にドラのが重なった時だけ前に出るけど、基本的には撤退の構えだ。

オタ風のやくらいは切っても良さそうだが、それすら切らず魚谷は守備的に構えたのだ。

この時の親・瀬戸熊の手牌を見てもらいたい。↓

配牌からが対子で赤が２枚。さえ鳴ければ… という手牌である。

解説の藤崎も「さすがにあのユニフォームを着てますけど、はドラ表示牌なので鳴きますよね」と言っていた。

楽にアガれるはずの一局が一転して、魚谷がを切らなかったことにより瀬戸熊の手はロックされのである。

不自由なチートイツに向かわざるを得ない展開に。

その間隙をついて

松本がリーチして満貫のアガリ。

アガリ自体は松本のものだが、魚谷が親の瀬戸熊にを鳴かせていたら全く別の１局… １半荘になっていただろう。

こうして、最小失点で切り抜けた魚谷。

南３局１本場。冒頭のシーンに戻る。

メンツ手かチートイツか…。

魚谷は熟慮の後にを切った。

この時の思考を魚谷は語ってくれた。

「チートイツだとピンズの上を全部切らないと行けないのがネックで、更にこのイーシャンテンからほとんどの牌を切っていくのはかなり松本さんのアガリになるかなと思いました。

ただもネックな可能性があるのでかなり悩みましたが、何も反応がなかったので高確率でピンズ上はターツにあるなと思いました。」

やはり松本の仕掛けを意識していたようだ。

そしてこの手でアガリがあるとしたらやはりメンツ手… ということだ。

は１枚鳴かれなければ次に切りやすいのも大きいだろう。

がむしゃらに仕掛ける松本。

冷静に対応する魚谷。

そこへ瑠美からリーチが入った！

まずは魚谷のターン。

をアンコにして勝負手になったものの、今ツモってきたは無筋だ。ラス目のリーチに向かっていっていいものか…

魚谷は一息ついて…

をプッシュ！

魚谷は瑠美に満貫をツモられてもラス目になってしまう。

逆にこの手牌をアガることができればトップが現実的になってくる。

ローリスクハイリターンならば当然の勝負。一息ついたのは確認の時間。

松本がテンパイしていない可能性もあると確認した時間だ。

次に魚谷がプッシュしたに手が止まったのは松本だった。

をチーしてを切ればテンパイできる。

仮に瑠美に満貫を放銃してもまだトップ目だから、鳴く手もある。

だが本当にそれが最善だろうか？

押している魚谷のリーチを受けた時に安全牌がまるきりゼロになってしまう。

そしてはドラがなのでペンなどもあり超危険牌だ。

ここで鳴くのは勇気か、それとも無謀か－－

点棒状況とにらめっこし、ベストバランスを探求する。

そして松本はツモ山に手を伸ばした。

瑠美に満貫を放銃したら、オーラスに魚谷は満ツモ条件・瀬戸熊には10002000条件まで詰め寄られてしまう。