雷電にファイナル初勝利をもたらしたのは
卓上に魂をBETできる男、瀬戸熊直樹!
文・ZERO / 沖中祐也【火曜担当ライター】2023年5月9日
私は火曜日の第一試合を担当しているのだが、最近気づいたことがある。
今シーズン、火曜日の実況がほとんど松嶋さんなのだ。(信頼度80%)
半年もの間、毎週こんな笑顔を振りまかれると「今日もかわいいね、桃ちゃん♪」と語りかけるようになってしまっている。
だんご虫の裏側を見たような気持ち悪い前置きはさておき、いよいよ今週からファイナルが始まった。
レギュラー→セミファイナル間はおよそ3週間空いて間延びしたが、セミファイナル→ファイナル間は休みがなく、セミファイナルが終わるやいなや、すぐにファイナルが始まった。
調べてみたら昨年まではセミファイナル→ファイナル間に1週間の休みがあった。
観戦記者としては休みがあったほうが心は落ち着くのだが、いち視聴者としてはすぐに始まったほうが、スピード感があって良いと感じる。
そして、例年と大きく違う点がもう1つある。
それは試合数が12試合から16試合に増えた点だ。
誰も触れないが、この影響はとても大きい。
どのような影響があるのか、現在のポイントを見ながら解説しよう。
上から下まで100ptちょっとである。トップラスで変わるので、ほとんど横並びでヨーイドン!だと考えていい。
じゃあ短期でツイているチームが勝つじゃんけんみたいなものじゃん!と言いたくなるが、12試合から16試合に増えたことで、運の要素もかなり薄まってくる。
一つの条件(16試合終わった時点で一番ポイントを持っているチームが優勝)に向け、同じ4つのチームが打ち続ける。
メンツは似たような感じになってくるだろうし、これはタイトル戦の決勝というよりもリーグ戦の半期に近い。
私は自力のあるチームが有利になりやすいレギュレーションになったと感じた。
そこで瀬戸熊である。
「着順取りとかラス回避は得意じゃないけど、トップを目指す麻雀だったら任せてほしい」
と自信を覗かせる瀬戸熊。
特にレギュラーシーズンは本田の爆発に助けられただけに、不調だった萩原・瀬戸熊・黒沢の3人が奮起。セミファイナルに入ってから3人はプラスを重ね、本田を助けている。
ここで勝たなきゃ男がすたるというもの。
控室でいつものように集中力を高める瀬戸熊の姿があった。
第1試合
チーム雷電
瀬戸熊直樹
東1局
松嶋「誰の配牌がいいですかねー」
と言っている間に瀬戸熊が4巡目にリーチ
手詰まった松ヶ瀬から打ち取って、リーチ・ドラ1の4800の先制。
1本場、返す刀で
テンパイ。
を切ってカン待ちか、を切って待ちか、どちらで待つ?
普通はオタ風のが狙い目なので打リーチとしそうだが、場を見てもらいたい。
が良く見えないだろうか。
寿人(上家)のが早いのと、松本(下家)がと切っている。
自身の目からとが3枚ずつ見えており使いづらく、誰かがもう1枚持っていてもおかしくないが、残りは山にいそうだ。だが瀬戸熊は…
基本に立ち返り、を切ってリーチを打った。
レギュラーシーズン最終盤、雷電は-248ptと調子を落とし、150pt差までにじり寄られたことがあった。
その日の先発である本田が「どのチームをマークすればいいですかね」と戸惑いを浮かべているのを見て、瀬戸熊は「萩原さんがやろうっていっていた円陣を組もう」と提案した。