リーチか、ダマか
勝利を引き寄せたリーチ判断
文・喜多剛士【木曜担当ライター】2026年2月12日
麻雀において、リーチ判断ほど難しい選択はない。手牌の形、残り枚数、場況、そして相手の気配。すべてを天秤にかけたうえで選択を迫られる。
実は、こんなデータがある。 8巡目テンパイ時のアガリ率は、リャンメンでリーチ57%、ダマ73%。カンチャン(愚形)ではリーチ43%、ダマ59%。リーチとダマで16%、リャンメンとカンチャンで14%の差がある。この数字を頭に入れて今日の試合を観戦すると、選手たちのリーチ判断がより深く見えてくるかもしれない。
第1試合
東家:瀬戸熊直樹(TEAM RAIDEN / 雷電)
南家:佐々木寿人(KONAMI麻雀格闘倶楽部)
西家:下石戟(BEAST X)
北家:浅井堂岐(セガサミーフェニックス)
実況:日吉辰哉 解説:河野直也
東1局
南家・寿人の配牌は、赤2枚にドラ
を抱えた手牌に、第一ツモで
がトイツ。 打点、速度ともに申し分のない配牌。寿人らしい攻撃的な麻雀が、ここからどう展開されるのか。
寿人が
をポンしてカン
をツモ。
・赤2・ドラの2000-4000。鮮やかなツモアガリで、まずは先制する。
東2局
東1局、先制の2000-4000を決めた寿人が、親番で迎えた次局。配牌から赤3枚のオールスター。しかも、第1ツモで
がトイツとなり、速度・打点も十分な形。
一方、瀬戸熊も負けていない。打点こそないが、ダブリーチャンスのイーシャンテン。
そんな中、
をポンして動いた下石は、すぐさま
も仕掛けてテンパイ。待ちはドラのカン
。
を重ねればトイトイへの移行も視野に入る構えだ。
Mリーグでアガリ率1位を誇る男らしく、スピードを緩めることなく、チャンスがあれば打点の上積みも狙う柔軟さが、下石の強さを物語っていた。
そして、瀬戸熊にドラの
が埋まりテンパイ。2副露の下石がテンパイ濃厚な状況ではあるが、ここで瀬戸熊はリーチを選択。データの巡目は異なるがアガリ率は73%から57%へと下がる。しかし、アガった際の打点上昇の価値を考えれば、このリーチは誰もが納得の選択だろう。
そこへ寿人も追いつく。
をポンして![]()
の両面テンパイ。
・赤3、打点は申し分なし。
そして、この局を制したのは寿人。
を引き入れ、
・赤3の4000オール。連続加点に成功し、一気に抜け出す形となった。
先制リーチで待ち牌が山に7枚あった瀬戸熊にとっては、悔しさの残る一局となった。
東3局
瀬戸熊の配牌は、愚形2ブロックが残るものの、ドラ1のリャンシャンテン。
トップ目の寿人は、すでに2メンツを完成させており、こちらもリャンシャンテン。ドラの
があり打点も十分に見込める形だ。
そんな中、下石が早々にドラの
を見切る。6ブロック進行の中で
を外し、789の三色を見ながら
へのくっつきを狙う選択もある場面だが、ここではロスのない最速の手順を選択。テンパイスピードを最優先する、下石らしい構えを見せた。
瀬戸熊は
を引き入れてカン
でテンパイ。カンチャンリーチのアガリ率は43%。その中でも2・8待ちは比較的優秀で、ドラ1があるためリーチを選ぶ打ち手は多いだろう。
だが瀬戸熊は、あえてダマを選んだ。今回は
・
・
の両面変化が見込め、特にドラの
を引けばピンフとドラで打点が大きく跳ね上がる。リャンメン変化でリーチならアガリ率も57%まで上昇する可能性がありダマを選択した。ただし、役がないためロンアガリはできず、相手に自由に手を進められるというデメリットもある。これがリーチ判断の難しさ。読者のみなさんなら、どう打つだろうか?
そんな中、堂岐が
をポンしてホンイツへと進める。そして、瀬戸熊のアガリ牌である
を放つが、役がないため瀬戸熊はロンできず。自由に打たれ、アガリを逃すという、リーチを打たなかったことによるデメリットが露呈する形となった。
その後、瀬戸熊は
をツモ切りしてリーチを宣言。ツモ切りリーチは、仕掛けに対するけん制や、アガリ牌の関連牌が見えて状況が変わったときに選ばれることが多いが、今回のリーチは対戦相手にどう映っただろうか。
一方の寿人も、![]()
でテンパイ。ピンフ・ドラ3で打点は十分。先制テンパイならダマでアガリ率73%の8000点を、リーチで57%まで下がるが跳満を狙う選択もある。しかし、瀬戸熊のリーチに対して寿人の待ちは危険牌となり、ダマでも二人から放たれる可能性は低くダマでもアガリ率が大きく上がるわけではない。しかし、三色の変化も見込めることから、寿人はダマを選択した。
そして次巡、寿人がツモ切りリーチ。インタビューで寿人は、三色を待っていたが仮に
を引いて
を切ってのリーチはリスクが高く打てないと判断を修正した一打だった。















