“目立たなくていい”滝沢和典、4連勝で魅せたリーダーの背中【Mリーグ2025-26 レギュラーシーズン 観戦記 10/23 第1試合(麻雀チャンネル)】担当記者 宮水さくら

“目立たなくていい”滝沢和典

4連勝で魅せたリーダーの背中

文・宮水さくら【木曜担当ライター】2025年10月23日

 

静かな男が、いま波に乗っている。

KONAMI麻雀格闘倶楽部滝沢和典

Mリーグ8年目のシーズン、ベテランとして、そして今季からは監督としてチームを率いる立場になった。

その滝沢が、今まさにキャリア初となる4連勝に王手をかけている。

「最近はよく寝れるんですよ。お酒も美味しいし、調子がいいです。」

解説席の前田直哉がそんなエピソードを笑い交じりに紹介していた。

淡々とした口調で知られる滝沢の“調子がいい”という言葉は、派手な自信の表れではない。

日々の積み重ねが形になっているという、確かな実感の裏返しだ。

思えば、Mリーグが始まってからの8年間。

彼は常に“静の麻雀”を貫いてきた。

派手な麻雀よりも、理にかなった一打を選び抜く。

感情を見せず、勝っても大きく喜ばない。

それでもチームメイトやファンは、その冷静さの奥に、燃えるような闘志があることを知っている。

今季の滝沢は、バランスが完璧に噛み合っているように見える。

読みの鋭さ、押し引きの正確さ、そして勝負所での一打の冴え。

どの局面を取っても“迷いがない”。

その姿はまるで、長年積み上げた経験と信念が噛み合ったときの理想形だ。

今夜、彼は個人4連勝という記録をかけて卓につく。

特別な言葉も、力強いジェスチャーもない。

ただ、淡々と。

勝利という結果で、本日も静かに語るだけだ。

第1試合

東家:竹内元太セガサミーフェニックス
南家:小林剛U-NEXT Pirates
西家:逢川恵夢EARTH JETS
北家:滝沢和典KONAMI麻雀格闘倶楽部

東3局2本場

滝沢の手は、すでに678三色が確定している一向聴。


次のツモで【赤5マン】を引き入れ、形の良い一向聴に変化した。


続くツモは【8ソウ】。ここで分岐が訪れる。

ピンズはカン【3ピン】の受け入れがあり、3人がピンズの下を切っている事から場況的にも【3ピン】はやや良く見える。
全体的には読みが難しい局面だ。
滝沢はここでピンズ払いを選択。実際は逢川がトイツで【3ピン】を持っており、しっかり読み切った選択となった。
しかし、【5マン】ツモでカン【3ピン】のテンパイを逃す“裏目”を引く展開に。


結果は仕掛けを入れていた小林が2000-4000をツモアガリ。滝沢の三色は実らなかった。

試合後、滝沢はこのピンズ払いについてこう語った。
「逢川さんの【2ピン】手出しを見て、【3ピン】を1枚持っていると感じた」
読みは正確だったが、ツモが味方してくれない。

それでも、滝沢の判断の精度と観察眼が際立った局面だった。

南2局
5巡目、滝沢が【8マン】を引き、イーペーコーが確定。
カン【5マン】の受け入れは減るものの、タンヤオを見て【9マン】切りを選択。
高打点を狙う姿勢は、いま絶好調の滝沢らしい積極性だった。

【6ピン】を引き入れて、タンヤオイーペーコー・ドラ1のカン【7ソウ】待ちテンパイ。
形は悪いが、ここは迷わずリーチ。この【7ソウ】はなんと山に4枚。

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