渡辺太、止まっていた時計が動き出す初トップ【Mリーグ2025-26 レギュラーシーズン 観戦記 10/23 第1試合(麻雀LIVEチャンネル)】担当記者 喜多剛士

渡辺太

止まっていた時計が動き出す初トップ

文・喜多剛士【木曜担当ライター】2025年10月23日

10月23日のMリーグ、第1試合の対局に名を連ねるのは、いずれも今シーズン思うような結果を出せていない3名と、ラスなしで踏みとどまる東城。勝利への渇望と、チームの未来を背負う覚悟が交錯する一戦となる。

赤坂ドリブンズから登場するのは渡辺太。5戦連続の逆連対、そして前回も逆転を許しての2着と、今シーズンは苦しい展開が続いている。昨季終盤の悔しさを胸に、そろそろ勝利が欲しいところ。ドリブンズの屋台骨として、意地を見せる一局となるか。

KADOKAWAサクラナイツ堀慎吾もまた、今季は▲59.1ポイントと苦戦中。冷静な押し引きと鋭い読みで知られる堀だが、今はその力を発揮しきれていない。チームの浮上には、彼の復調が不可欠だ。

渋谷ABEMASからは松本吉弘。4シーズン連続で個人スコア+100ポイント超えを記録してきた安定の男だが、昨季は▲426.6ポイント、今季も▲154.3ポイントと、らしくない数字が並ぶ。ABEMASのヒットマンが、再び輝きを取り戻す日は今日かもしれない。

そしてBEAST Xからは東城りお。今季ここまでラスなしという安定感を見せており、チームはボーダー争い。東城に求められるのは、ただの安定ではない。チームをプラス圏に押し上げる、力強いトップだ。

勝ち星に飢える者たちと、崩れずに耐える者。4人の思惑が交錯するこの一戦、静かな卓上に、熱い火花が散る。

第1試合

東家:東城りおBEAST X
南家:渡辺太赤坂ドリブンズ
西家:堀慎吾KADOKAWAサクラナイツ
北家:松本吉弘渋谷ABEMAS

東1局

太は2巡目にドラの【1マン】が重なり、手牌にはトイツが4組。チートイツを見ながらの進行となるが、面子手も捨てがたい。浮き牌【8マン】を選んで切った直後、次巡で【8マン】が重なる惜しい一手になった。

さらに【赤5マン】を引いてリャンメンターツが完成。ここで浮き牌【3ピン】【北】の選択に迫られる。5ブロックは揃っており、チートイツの待ちとして優秀かつ安全度の高い【北】を残して【3ピン】を放つが、次巡にまさかの【3ピン】引き。チートイツを見ているのに、捨て牌にトイツが並ぶちぐはぐな展開に。

そんな中、親の東城がカン【7マン】を引き入れてテンパイ。待ちは悪いが、【赤5ピン】が手中にあり【赤5ソウ】引きで満貫が見込めるため、ここは先制リーチで攻めの姿勢を見せる。

一方の太は、ドラの【1マン】を暗刻にして粘りの構え。カン【3ソウ】を引き入れて、【6ピン】【5マン】のシャンポン待ちで追っかけリーチを敢行。待ちは良くないが、ドラ3・赤で打点は十分。

そして、東城が【6ピン】を掴み、太のリーチ・ドラ3・赤の8000点に放銃。親の先制リーチを、ちぐはぐなチートイツ進行から面子手に切り替えた太が見事に捉えた。

苦しい展開が続いていた渡辺太にとって、今季初勝利への布石となる一撃となった。

 

東2局

4巡目、静かに手を進めていた堀が【3ピン】を放てばテンパイ。待ちは【4マン】【7マン】のリャンメン。だが、ここで即リーチとはいかない。手牌にはイーペーコーの形が見えており、ピンフのみで終わらせるには惜しい構え。タンヤオイーペーコーを確定させ、打点をつけるために、堀は【9ピン】を熟慮の末に選択する。

そして再度テンパイ。タンヤオにはならなかったが、ピンフイーペーコーが確定。ここで堀はリーチを宣言。打点を意識した組み替えが、形となって現れる。

一方、ドラと赤を抱える東城は、堀のリーチに対して現物の【赤5ソウ】をチー。苦しい形ながらも、打点を頼りに粘りを見せる。そして【7マン】を引き入れ、タンヤオ・ドラ2・赤2のテンパイ。【9ソウ】では役なしの片アガリとなるが、打点は十分。勝負に出る構えだ。

しかし、制したのは堀。東城から【7マン】が放たれ、リーチ・ピンフイーペーコーの3900点を獲得。打点を意識して組み替えた重厚な打ち筋が光った一局となった。

一方の東城は、2局連続の放銃。打点があっただけに押した判断は間違いではないが、結果として苦しい展開が続くこととなった。

 

東4局

まず動いたのは太。ドラの【6ソウ】を放ち、【2ソウ】【3ソウ】のシャンポン待ちでテンパイ。

その太から放たれたドラの【6ソウ】を、トップ目の堀がチー。タンヤオ・ドラ1のテンパイを組み、局進行と加点を狙う。

そしてすぐに東城が追いつく。タンヤオイーペーコー・赤の【5ピン】【8ピン】ノベタン待ち。3者の待ちはシャンポン・リャンメン・ノベタン。待ちの優劣を語るならば、シャンポンはやや不利。しかし、太のシャンポンはなんと山に4枚残りという好条件。待ちの形と枚数が噛み合わない、麻雀の妙がここにある。

太はシャンポンから亜リャンメン、ノベタンへと待ち替え粘りを見せるが変えるたびに山に残る枚数は減っていく。選択のたびに遠ざかるアガリ牌。思わず息を呑む展開。

そして最後に笑ったのは東城。【8ピン】を引き入れてツモアガリ。リーチ・ツモ・イーペーコー・赤の2000-4000。2局連続の放銃から一転、力強い一撃で流れを引き戻した。

 

南1局1本場

親の東城がテンパイで流局し、迎えた南1局1本場。3巡目、太に選択の岐路が訪れる。手牌に残る【7マン】【4ソウ】【9ピン】どれを使うかで、手の未来が大きく変わる。

【9ピン】を使えばタンヤオは消えるが、一通が狙える。しかも筒子は7連形。何を引いてもテンパイする受け入れの広さが魅力だ。

【4ソウ】は345の三色の種。タンヤオピンフ・三色・赤まで見込めるMAX打点の可能性を秘めている。

【7マン】【6マン】引きで3面張になる形。スピードと形の良さが光る。

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