渡辺太、止まっていた時計が動き出す初トップ【Mリーグ2025-26 レギュラーシーズン 観戦記 10/23 第1試合(麻雀LIVEチャンネル)】担当記者 喜多剛士

打点で優れる【4ソウ】は残すとして、太が選んだのは打【7マン】。一通の可能性を残す手組。愚形テンパイになるリスクもあるが、決まった時の打点は魅力的だ。

そして次巡、【1ピン】を引いてテンパイ。迷わずリーチを宣言する。カン【2ピン】の形ながら、山には4枚。

【2ピン】は他家の手に流れていき、流局の気配が漂う中、太が最後の1枚を引き寄せた。

リーチ・ツモ・一通・赤・裏の3000-6000。選択の先にあったのは、鮮やかな一撃。今季苦しんでいた太が、ここに来て輝きを放つ。

手組の妙と打点への執念、そして最後の一枚を引き寄せる力が交錯した、濃密な一局だった。

 

南2局

松本吉弘がリーチをかけると、次巡で一発ツモ。リーチ・ツモ・一発・赤・裏の2000-4000。今季苦しんでいた松本にとって、ようやく光が差す一撃となった。

 

南3局

ラス目の東城が1巡目に【南】をポン。遠くに見える索子のホンイツを意識しつつ、最低でも【中】を副露して2000点の構え。堀とは11300点差、松本とは14200点差。ここで500-1000でも加点できれば、堀と8300点差、松本と11700点差となり、オーラスで満貫ツモ条件を確保しつつ、手牌の進行次第で満貫級のアガリも狙える、そんな計算が見える仕掛けだった。

だが、ここでも松本が立ちはだかる。ペン【3ソウ】というやや苦しい形ながら、迷わずリーチ。力強くツモって、リーチ・ツモ・ドラの1000-2000。トップの堀とは4100点差の2着目に浮上し、松本の連続ツモが卓上の空気を一変させる。東城の緻密な仕掛けも、松本の勢いの前に届かなかった。

 

南4局

オーラス、勝負の行方はまだわからない。だが、ここで太に場風の【南】が暗刻となる。まくられて負けが続いていた太にとって、これはまさに「守りも攻めも効く」最高の牌。どこからでも仕掛けられるし、手を短くしても【南】の3連打で危機回避ができる。卓上に、勝利の風が吹き始める。

【2ソウ】をチーして手を進めると、【4ソウ】をツモ。【南】・ドラ1の500-1000で勝負を決めた。

太は、今季いまだトップなしという苦しい状況の中、ついに勝利を掴んだ一戦。東1局の裏目のチートイツ進行から面子手への切り替え、南1局の一通を狙った選択、そして南4局の【南】暗刻を活かした冷静な仕掛け。どれも、勝ちへの執念がにじむ打牌だった。打点と形のバランスを見極める判断力が冴え、今後の復調を予感させる内容だった。

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