浅見真紀が個人2連勝!
全7回のアガリで完全制圧
文・中野巧【火曜担当ライター】2025年12月9日
第1試合
東家:浅見真紀(赤坂ドリブンズ)
南家:内川幸太郎(EX風林火山)
西家:竹内元太(セガサミーフェニックス)
北家:松本吉弘(渋谷ABEMAS)
最近Mリーグを観ていて「配牌めちゃくちゃいいな」と思うことが増えた。ただ麻雀の面白いところは配牌が良くてもツモる牌が悪ければ追い抜かれてしまうということ。もどかしさを感じる瞬間はMリーガーのみならず全麻雀打ちも同じである。
ただ人が麻雀中にもっともストレスを感じている瞬間は、放銃時でもアガリ逃し時でもない。イーシャンテンがずっと続く時である。
ここはMリーグの舞台なので選手の感情的なシーンは観ている我々に共感を生むが、それ以外の場で過度に感情を出す行為はほかのプレイヤーに余計な情報を与えるだけでなく、一方的すぎるコミュニケーションになる恐れがあるので、注意が必要だ。
今試合は全17局。そのうち浅見のアガリは7回、放銃0と他者を圧倒した。
元太は”マムシ”沢崎がベタ褒めするほどの内容で、安定感がある2着に。
内川は道中ハネマンのアガリがあるも浅見と元太へ親の満貫放銃が響き3着。
松本は全体的に苦しい印象で、テンパイするもアガリが遠く4着となった。
沢崎誠の「マムシの目」はこちら
東1局 明暗分けたテンパイ・ノーテン
親の浅見はホンイツが見える絶好の配牌をもらうも、簡単にアガリとはならない。
のポンから発進するも、有効牌を引かずに14巡目でもほとんど進んでいない。
自身の最終ツモ番でなんとかテンパイを取ることができ、連荘に。
元太がハネマンテンパイした打牌でロンアガリなど、他家のリーチに勝ち続け怒濤の4連続アガリで6万点オーバーに。後から考えたとき、あの最初のテンパイがこの大連荘を引き込んだ。実際に東1局時の点数と終局時の点数は一緒である。
東2局 元太の独特な押し引きのバランス
元太は10巡目、どこかのリャンメンターツを切れば1シャンテンの場面から2シャンテンに戻す
を切った。「えっ」と思った方も多いはず。ただし、私が相手にしたくないプレイヤーランキング1位の元太のことだ、何か狙いがあるに違いない。
全員の手牌と河を見てみよう。親の内川が4巡目にドラの
を切っており、そこから4回手出しが入っている。めちゃくちゃ形の悪い4シャンテンからドラを切るとは思えないので、ターツの選択やカンチャンがリャンメンに変化するなど、かなり形は整い、かつ今にもリーチが飛んできてもおかしくないと予想できる。また、内川は点数が9600点持ちと、よっぽど高い手でない限りはリーチをかけて、多少の出アガリ率が下がったとしても打点を上げたい場面だ。
上記に加えて、自身の手は親のリーチに2着目から真っ向勝負などまっぴらごめんなリーチのみの手である。1シャンテンにしてリャンメンターツを払うと、内川の現物を残せても、配牌から毎回手出しをしている浅見に安全な牌が残せない。
このような相手の状況と自分の手牌価値をかんがみ、「ここでアガリを目指さなくともよい」と判断したのである。
内川から14巡目に親のリーチが打たれる。元太は持っていた
や
などの安全牌を切りながら、最後にはフリテン
–
待ちとなり、
をツモアガリ。
常にアガリを目指すのではなく、しっかりと状況を見極める元太のすごさが詰まった1局だった。
その後の展開
松本はの三倍満テンパイなど起死回生のテンパイが入るも、内川がハネマンをアガるなど、終始つらい展開であった。
浅見の東1局のテンパイ・ノーテンなどほんの些細な一打で勝負が決まることがある。ただその一打を見極めて、運命を手繰り寄せることができるのが強者である。結果はどうであれきっかけとなる一打を覚えておくことで、今後勝負所を間違えずに一歩踏み込んだ麻雀が打てるだろう。

日本プロ麻雀連盟所属、プロ歴2年目。
英語、イタリア語が話せる。
麻雀プロの活動を中心にするため大企業を退職し、京都に家族を置いて上京。
現在は日本プロ麻雀連盟本部道場でスタッフとして在籍中。
いつかは書かれる側を夢みておもろい麻雀と服装を実践中。
X:@taknakano














