元KADOKAWAサクラナイツ「マムシの沢崎」こと沢崎誠。
12月9日の試合について「2試合とも面白かった」と開口一番に語ったが、それでも対局にはいくつか気になったところがあったようだ。
【取材・構成:中野巧】
12月9日 第1試合
■内川はゲームづくりを間違えた
内川君が東1局3本場で親のリーチに一発で
を放銃したでしょ。
の前の巡目にツモ切りで
を切ったんだけど、本来は
の方が危ないから先に切るべきだよね。
を残した、つまり
は使う牌なのになんで切っちゃうの?と思うわけ。確かにリーチの現物はひとつもなかったけど、切る牌は
しかない。
で当たるかもしれないけど、親リーチの捨て牌から字牌で当たる確率は少ないって見える。あの放銃がなければ2着、ワンチャンスでトップも見えていたと思うんだけど、あれを放銃しちゃったから2着争いが限界になっちゃった。あれが東1局の出来事、ということはゲームづくりを間違えているよね。
あと、内川君がどこかのコメントで「楽しく打ちたい」っていうのを見たのね。それはわかるんだけど、ならあそこは
を切るんじゃなくて、
を切らないとダメだよ。手筋が合ってない。前巡に
を切って高い手を作りにいってるんだから、ちゃんと
を抱えて手を組んでいって、勝負になるかどうか。そこからだと思うよ。
■浅見はホンイツなら
から鳴いちゃダメ
東1局、親の浅見さんが
をポンしたんだけど、ピンズの形が![]()
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で1メンツとカンチャンターツがあるのに、ここで
から仕掛けたら、このメンツだったら字牌もピンズも出ないよね。結局は
と
が手の内にあって、ホンイツトイトイを狙っていたんだろうけど、ホンイツをやるのであれば
ポンから入るのは違うと思った。これがオーラスとかで条件があるならわかるけど、東1局だから違うかな、テンパイしたのはツイていたと思う。
■松本は状況が見えていなかった
あと気になったのは、松本さん。南2局に
で放銃した場面。これテンパイ打牌で切るのは
かドラの
でしょ。攻める気持ちはいいんだけど、状況をあまり見てないんじゃないの?って思った。着順が上の内川君と竹内さんとの差が約1万点、これがオーラスならリーチに行くんだろうけど、あと2局あるし、まだ2着の可能性はじゅうぶんあるよね。ここで
でも
でも打って、放銃したら満貫あってもおかしくないし、外してオリてもよかったね。そのくらいのゆとりがあってもいいんじゃないかなって思った。
■元太をベタ褒め
全体的に見て、竹内さんはすごく良かった。内容がいいよね。何も文句がないどころか、見ていて楽しいもんね。打ちまわしと手じまいするタイミングがよくて、玄人好み。いつもアガリに向かっているわけじゃなく、よく場を見てるなと。よく勉強して、よく打ってるんだなと思ったね。
12月9日 第2試合
■多井は引退なんて言わずに真面目に頑張れ
多井君が「あと2~3年で何百ポイントか稼いだら引退」みたいな噂を聞いたんだけどさ、今日の麻雀を見て思ったけど、良い麻雀打ってるよね。能力高いよ。
多井君のうまさがあったのは南3局。まだ1シャンテンなんだけど、「テンパイしてるよ」と相手に見せるような、ツモと捨てるタイミングがすごくうまいのよ。いつもよりはちょっと遅いんだけど、そのタイミングがずっと一定だからテンパイに見えて、打ってる人はやりづらいんだよね。そういう技もあるし、しっかりしてるなと思う。
ただ、そこに園田さんも突っ込んでいったりしてるから、それも大したもん。やっぱり場が見えてるし、それに加えて自分がツイてないのもわかってるから、勝負をしにいってるんだよ。
あと永井さん、今日調子悪かったでしょ。あれは多井君にやられたって感じよね。永井さんは東3局に![]()
待ちで
を切ってリーチを打つんだけど、一発目に園田さんが
を合わせたのを多井君がチーしたのよ。あれは絶対僕もチーするもんね。アガれるアガれないじゃなく、ツモられたら絶対にハネ満だと思うから、満貫なら打ってもいい気持ちで仕掛けて、一発だけ消したほうがいい。
で、途中でテンパイしたけど最後は
のカンツ落とし。ああいうところもしっかりしてる。テーマは親を流して局を進めることで、きちっとそのテーマ通りにできてるからさすがだよ。僕ならカン
でテンパイしたからアガリもあるかなと思っちゃうけど、アガっても意味ないし、攻める必要もない。アガったら園田さんにチャンスだからね。いろんな技術を持ってる、いい麻雀だったね。変なことを言わずに、真面目に頑張れと思いますよ。
永井さんにとってツイてなかったのは、もう一人の相手が茅森さんだったってこと。彼女は打点が高いから、1回アガるだけで差が1万点ついてしまうからね。南2局1本場のカン
待ちで満貫をアガったときに「茅森さんが3着だな」って、よく知ってる人はそう思うよね。
最後も多井君や園田さんが親を流しに来るし、永井さんにとっては苦しい展開だった。
■永井が好調になったきっかけ
ここでオカルトって言っていいの?(笑)。僕はね、永井さんは今季良くなると思ったのよ。
永井さんが9/19のMリーグで瀬戸熊君と一緒に打った試合があって、その日の永井さんはアガれてなくて、瀬戸熊君の調子が良かった。けど、永井さんが打ったリーチに対して、好調だった瀬戸熊君が動いたんだよ。瀬戸熊君は4万点近く持ってたんだけど、良い人が動いたから「これツキが動くよな」って思ってたら永井さんがアガった。それで永井さんが初トップを獲ったけど、僕は瀬戸熊君の鳴きで永井さんがツイたんだと思ってるわけよ。それってツカせた人は沈むってことだから、それが瀬戸熊君の今季の成績に出てるよね、ちょっと苦しんでる。
みんなから見たら「瀬戸熊は力あるのになんで沈むの」と思うんだろうけど、僕からしたらそれは普通で、「そんなもん仕掛けたらやられるに決まってるだろ」って思っちゃう。
瀬戸熊君の仕掛けはアガリにいくんじゃなくてテンパイを取りに行ってるように見えたんだけど、テンパイ取りの麻雀は弱いから。どうしても必要ならいいけど、正攻法はきちっと高い手をアガること。それができないとダメだなあと思うね。

日本プロ麻雀連盟所属。
2019年、Mリーグに新規参入するKADOKAWAサクラナイツより指名を受けてMリーガーとなり、円熟味のある独創的な打牌の数々でファンを沸かせた。
2022年に大病を患い契約満了となったが、現在も精力的にプロ活動を行っている。














