熱論!Mリーグ【Tue】
鈴木たろうも悩ます…
Mリーグを席巻する
“黒沢家のしきたり”
文・ZERO【火曜担当ライター】2018年11月27日
Mリーグも早いもので折り返しを過ぎた。
チームランキングを見てみよう。
ずっと首位に君臨してきたABEMASがまさかの失速。一時400pt前後あったことを考えると麻雀の恐ろしさを感じる。
Piratesやフェニックスもうまくptを伸ばせない中、勝又の復活で風林火山が首位になっている。そして同様にドリブンズ躍進の立役者となったのが…
鈴木たろうである。ここ6戦で(4・1・0・1)と、「ゼウス」は完全に復活した。ドリブンズのファンだけではなく、協会(日本プロ麻雀協会)の多くのプロ達が自分のことのように喜んでいるのが、とても印象的だ。
8/7に行われたドラフト会議にて、協会から2人しかMリーガーに選ばれなかったことに対し、悔しさを強く感じているのだろう。そうした協会員たちの想いが、エースのたろうの肩にかかっているのである。
著書「ゼウスの選択」で「麻雀はただのゲーム、人生とか美学などを持ち込むのはくだらない」と語っていたたろうが、今は苦悩で落ち込んだり、喜びを爆発させたりしている。自身のためだけではなく、ファンのため、ドリブンズのため、協会員のため…多くの人たちの魂が、たろうの選択に乗っかっているからこそ、プレッシャーは計り知れないくらい大きくなっているのかもしれない。
ここでたろうを止めないとドリブンズが抜ける——。そう思ったのかはわからないが、本日の一回戦は
女性3人で包囲網を固めてきた。
いい作戦だ。「上家・グラマー」「対面・セレブ」「下家・かわいい」の何切るに迫られては、私だったら麻雀にならない。
東1局、西家スタートのたろう。
ここからを切るかな?と思ってみていたら、たろうはを切った。タンヤオ・三色・ドラドラ…のシカマン(仕掛けてマンガン)のルートはなくなるが、瞬間のロスがなく、そしてメンゼンリーチを強く意識した選択だ。次の選択にもリーチへの意識を感じた。
私はどうしてもタンヤオの意識が強いせいかを切りたくなってしまうが、たろうはここでも打。なるほど、たしかにこの形になったら不安定な3900の1シャンテンよりはピンズの横伸びやシャボ待ちでのリーチも含めた打の方が柔軟で高そうだ。
狙い通りメンゼンでテンパイを果たしてリーチ。しかし
亜樹がたろうリーチの現物でテンパイしてダマ。追っかけリーチする人も多いのではないだろうか? さほど迷わずにスッと切ったように亜樹の選択は21人の中でも一番固い。成績にもそれが表れていて、ラスを引いていない唯一のプレイヤーとなっている。
たしかにこの手牌、ツモで打点上昇する。加えて亜樹の捨て牌が強すぎるので、2件リーチで他家を困らせるのは亜樹にとってプラスではないのかもしれない。手替わりを待ちながら数巡様子見しておいて、全員の押し引きを見つつ、のありかをはかったところでリーチにいく…という戦術もアリなのかもしれない。
それでも…である。そういった諸々を覆すくらいピンフドラ1の打点上昇は大きい、と私は考える。雀風と言ったらそれまでだし、亜樹の守備意識から学ぶことも多いが、トップの大きいMリーグのルールで守備型の打ち手はジリ貧になりがちになると推測する。
結果はすぐに黒沢からがこぼれて亜樹が2000点のアガり。
東3局。
この配牌からたろうはを切った。字牌を残すMリーガーが多いが、ドリブンズの3人は意志を持って役牌から切ることが多い。親はとにかくリーチを目指した方が有利で、重ねられる前に、もしくは手牌が整う前に中を切ることで、自分の先制リーチ率を高めるという戦略だ。特にこの3人だったら中途半端な手牌で役牌をポンすることはないので、極めて効果的なのかもしれない。
「俺の親番…誰にも邪魔させねぇ」
そういう強い意志が感じられる第一打だった。
なお、対面の配牌。
セレブにとってはたろうの強い意志は無関係らしい。
いやいや、この手は意外に長引くとみた。麻雀アタマを作るのが一番むずかしい。
ほ、ほう。でもくっつきって結局愚形になるんだよね。
わずか3巡でこれである。
なお黒沢は前局ラス牌のカンチャンをツモり、マンガンをアガっている。持っているものが違う…なんて概念は存在するのか?
そんなセレブリーチを受けたたろうの8巡目。
この手牌、安全牌はだけ。たろうは形を維持してを切った。これが例えばパイレーツの3人のリーチだったら現物のを抜いていたのかもしれない。
というのも、黒沢は愚形2600のリーチを打つことはほとんどない。そんなものは庶民にやらせておけばよい。その分、筋が通りやすくなっていると言える。こういったデータが頭にあったからこそ、たろうはこれくらい遠い手でもを切ったのだ。
この粘りの姿勢が
チートイドラドラのテンパイを呼んでリーチ!しかし
を掴んでセレブへの放銃になった。
(ああん?)
本人は至って普通にしているのだろうが、たろうは負けていると本当に嫌そうな顔をする(笑)
(…また裏が乗らないわ)
卓上の雰囲気がやや悪くなった東4局だった。