熱論!Mリーグ【Tue】
セレブ、舞姫だけじゃねぇ!
“今日から高宮は‼︎”
フダつきの攻めダルマ。
文・梶谷悠介【火曜担当ライター】
2018年11月27日
早いものでMリーグも前半戦を終えようとしている。
今回は出場選手のこれまでの戦い振りと今後の展望を記すことから始めよう。
黒沢咲
元々知名度はあった彼女だが、Mリーグを通じてセレブ打法と大食いキャラがファンの間に浸透していった模様だ。打点重視のスタイルが段々と型にハマり、出場の度にのびのびと打てている気がする。セレブ打法の影に隠れているが、トップ目に立ってからのゲームメイクも実は上手い。雷電の浮上に萩原の復活は必須だが、それまで瀬戸熊と共にチームを支える頼もしい存在になりつつある。
高宮まり
開幕当初はやや中途半端な攻めで不安定さを露出していたが、前ゲームあたりから吹っ切れたような鋭い押しを見せ始めた。この錚々たる面子の中でやや経験や実績で見劣りするところをどのように跳ね返すか、チームのスタイルと相まって答えが出たのではないだろうか。個人成績では下位に沈んでいるが、これからの奮起に期待したい。
鈴木たろう
実力、実績ではMリーガートップクラス。不振に喘いでいた時期もあったが、ようやく個人成績もプラスに。チームメイトの園田と村上が最高位決定戦に出場しているため日程の関係で連投が多くなっていたが、それもようやく終わり一息つけるといったところか。個人戦では抜群の強さを見せつけてきたたろうだが、団体戦でのゼウスの選択がどのようなものになるか後半戦が楽しみだ。
二階堂亜樹
個人成績はここまで3位の13戦ラスなし。ただしその内7回は3着である。手を重くし守備的に構える打ち方はやや赤ありの麻雀にアジャストできていない印象だったが、ラス回避することで着実にポイントを増やしている。このまま後半戦も安定感を見せて乗り切れるかが注目である。
この日はたろうと女流プロ3人の対戦という構図になった。
起家 黒沢咲(雷電)
西家 鈴木たろう(ドリブンズ)
北家 二階堂亜樹(風林火山)
東1局0本場
たろうの先制リーチが入った同巡、亜樹にも平和赤1のテンパイが入る。
場にはが2枚、が1枚見せている。たろうの捨て牌にがあるためは出やすいとの判断からダマを選択し、現物を打った黒沢から2000点のアガリとなった。
亜樹らしい判断ではあるが、打点上昇を考慮するならリーチも十分あるだろう。
リーチかダマかの是非はひとまず置いといて、私が思ったのはここでダマテンにする打ち方で優勝が狙えるのか?ということだった。風林火山は現在首位だが4位まではわずか160ptほどしか離れていない。ここまで36戦中1着9回2着7回3着17回4着3回という極端なラス回避の着順分布は、確かに地道にポイントを積み重ねてはいるが、オカのあるルールではやや不利なのではないか。
これと対照的なのがドリブンズで、38戦中1着12回2着13回3着2回4着11回とラス率の高さをトップと連対率の高さで補っている。Mリーグのルールではこちらの方が上位にいける確率が高いと感じるのだが、こればかりは後半戦を見てみないことには何とも言えない。
この半荘のポイントは、亜樹の安定感に対するたろう、黒沢、高宮の強引さという構図にあるとみた。
東4局0本場
たろうから先制リーチが入る。
これに対して黒沢、切りでテンパイだがドラ側の無筋は切りづらい。またペンも弱いと感じたのだろう。小考し、打とした。が現物、は無筋である。トップ目で無筋を切ってテンパイ取らずはかなり勇気のいる選択だが、強気のビーナスが前に出た。
次巡狙い通りの平和赤1テンパイを果たす。
そしてリーチ。たろうはを捨てているがここは強引にさらなる加点を目指す。東1局に亜樹がダマに構えたのと対照的でおもしろい。
ここに割って入ったのは高宮。
好形のイーシャンテンだが、2軒リーチに挟まれた状況で放ったのはだった。
これには私も“うぇ⁉︎”と変な声が出た。リーチ者2人に無筋なのである。
そうか…しかしこれを見て納得する自分もいる。押し引きの判断として見るのならもしかしたら正解とは言えないのかもしれない。だがこれは彼女なりの決断の一打だったのではないか。
開幕当初、どこかきれいに打とうとして迷っていた高宮だったが、今は腹をくくって攻めに転じている。
迷うくらいなら押すことに決めた。そんな風に私には見えた。そして往々にして麻雀ではこうした決断力が技術を凌駕する。
を引いて単騎とした後、を持ってきて切りので追っかけリーチといく。ちなみにも2人に無筋だ。まるで寿人が乗り移っているかのようで気持ちがいい。
この局はを掴んだたろうが黒沢に3900の放銃となったが、ラス目のリーチに2人が突っ込むという見ごたえのある局となった。
南2局1本場