最高峰の4人が奏でた四重奏【Mリーグ2023-24観戦記 2/9 滝沢和典 VS 堀慎吾 VS 白鳥翔 VS 鈴木たろう】担当記者坪川義昭

堀がハマってしまう。
マンズの受けの悪さとの危険度、滝沢の切り順、ピンズの良さ、打点を加味して放ったで痛恨の8000点放銃となった。

南1局

リードを広げたい親の滝沢がをアンカンしたところ、カンドラもろのり。

勝負を決めにいくリーチと出た。
ヤミテンでも打点は十分あるのだが、それによって相手に自由に打たれて捌かれる可能性を上げるよりは終盤まで山と格闘した方が良しという判断である。
既に自身の待ちを切っている相手がいた場合は拾える可能性も上がるので判断は変わっていたかもしれない。

実際白鳥の手はかなり整っていたが、親のドラ4枚見せられたリーチには歯向かう気力も起きずにを切らずにすぐさま撤退している。
これによってハイテイまでツモを味わえた方が良いという選択はナイス判断ではないだろうか。

ツモ番がなくなった白鳥はを切れば手番終了となるのだが、ここでションパイのを場に放つ。
このままいけば滝沢がハイテイなのだが、もし堀がこれをポンしてくれれば滝沢のツモ番が消える。
が宣言牌でシャンポン待ちに当たりうるじゃないかと思われそうだがを切っていることによって否定されている為、ロンと言われることはない。
堀さん頼んだ！と言わんばかりに強めに叩きつけてみた。

流局となり次局。
たろうの繊細な一打がここにはある。
ドラがで他は苦しい形が残っている手牌なのだが、ほとんどのプレイヤーはここで切りを選択しがちだ。
しかし、こうすることによって–を引いた時に後にまだソーズを受け入れることが出来る。
この手の生命線はソーズで2メンツ作れるかどうかがこの時点ではキーポイントと考えた。

親の滝沢のドラ切りに対していち早く対応して今度はを先切り、も処理していく。
こうして相手の速度感に合わせて、手牌を詰まないように進行させていくのがたろうの繊細さだ。
派手な手組みが多く大雑把な印象を受けがちなたろうだが、こういう部分は麻雀界トップクラスであり、常に守備的な選択だけが繊細な麻雀ではないことを体現している。