紫電一閃! 松ヶ瀬隆弥が振り上げた拳の行方【Mリーグ2023-24観戦記 3/12】担当記者 ZERO / 沖中祐也

たしかにカン【2ソウ】の方がアガれそうだが、大差ない。

【8ソウ】のメリットはあまりに限定的。
その後、カン【2ソウ】【1ソウ】単騎でのアガリがあっただけに「やらかした」と思ってしまう気持ちはわかるが、私は間違いだとは思わない。

振り上げた右腕

下家の仲林に激しく仕掛けられるも、切りたい牌が通っていき自然とテンパイが入ってしまった松ヶ瀬。

三暗刻【5マン】【8マン】待ちだ。
【1マン】が2枚見えていて、役満・四暗刻への手変わりは苦しい。

【6マン】を4枚持っているのに【5マン】【8マン】が見えていないのは、固めて持たれていそう)
(でも、この場面は…)

(リーチだよな)

松ヶ瀬はツモるたびに、力が入り、深い息をもらす。
力を入れてもツモ牌は変わらないことはわかっているけど、どうしても力が入ってしまうのだ。

松ヶ瀬の麻雀人生の中で、今シーズンほどの不調は初めてだった。
そのおかげで、チームはボーダー争いの苦境に立たされている。

リーチを打った時点で、【5マン】【8マン】は山に1枚しか残っていない。
ほとんど残っていないだろうことは松ヶ瀬も感じている。

それでも松ヶ瀬は一巡ごとに力を込めていく。

お願いだからツモらせてくれ…!
松ヶ瀬の、祈りに似た想いが右腕を走る。

それは、最後のツモ、ハイテイだった。

いつもより高く振りかざした牌は、河ではなく、手元に引き寄せられた。

ハイテイに裏ドラまで暗刻で乗せ、まさかの4000/8000!

卓上を襲った衝撃はあまりに大きく、松ヶ瀬はそのままトップで戦いを終えた。

麻雀を楽しむことが大事、と語る松ヶ瀬。
だが、この映像は開幕前に撮ったものであり、まさか今シーズンここまで苦しむとは思っていなかったはず。きっと麻雀を楽しむ気持ちも忘れかけていたのではないか。

でも今宵思い出した。
祈りが通じたときの感動を。
共に喜んでくれる仲間がいることを。

麻雀は楽しい。
これだからやめられねぇ。

2戦目の勝又もトップを取り風林火山はデイリーダブルを達成。
風林火山は

ボーダー争いを一歩リードする形になった。

だが、必ずどこかのチームが追ってくる。
ならばその足音が聞こえなくなるまで振り切ってみせよう。

松ヶ瀬が復活した風林火山ならそれができる。

Mリーグは1牌1牌に祈りをささげる、最終盤に突入していく。

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