選ばれたのは「修羅のオーラス」
”もしも”の果てに
積み上げられた四者の結末
文・渡邉浩史郎【火曜担当ライター】2024年3月12日
第2試合
東家:多井隆晴(渋谷ABEMAS)
南家:勝又健志(EX風林火山)
西家:鈴木優(U-NEXT Pirates)
北家:本田朋広(TEAM RAIDEN / 雷電)
歴史に残る一戦となった本日二戦目。【南4局】を迎えた時点で誰一人30000点を超えることはなく、本田のマンガンが出るまでの最高打点は優の700・1300。
勝負手の人が和了れず、躱し手が決まる展開の多さに起因しているのだが、この展開を半ば意図的に選んでいたのが軍師勝又。
象徴的だったのが【東4局1本場】。をチーして親の本田からリーチを受けた勝又。
ドラのとがどちらも現物ということで、を切って三色とドラを残すのが一般的な選択と言えよう。
しかし勝又の選択は打。
自身の目からは四枚見えにも拘らず、本田の宣言牌は。
一番ありがちなのはからの切ってカンといったところだろうか。
ドラのを先に切っていることから、ピンズのあたりをアタマやシャンポンの形で持っているケースも考えられる。
勝又目線でを切って自身の手が3900~になるリターンと、を切って放銃の可能性があるを受け入れられるリターンを天秤にかけてみる。
リスクリターンの観点から言えば正直難しいところではあるが、とにかくこの日の勝又は目の前のリスクを最小限に抑える選択が多いように見受けられた。
理由としてはやはり一戦目、松ヶ瀬の復活でトップ獲得となったところが大きいだろう。
この二戦目で雷電とのトップラスとなった日には、風林火山からすれば目も当てられない。親の本田からのリーチという局面においては、とにかく細心の注意を払っておきたい。
を切っておいたからこそ、優から「勝又に振っても安い」この切りを引き出せた。
仮にの四枚目を見せていれば、優はこの切りを選ばなかっただろう。
勝又自ら飛び込んだ修羅の道。長かったレギュラーシーズン、終盤の条件戦の足音は確実にMリーグの舞台に聞こえてきている。
【南4局】
さて場面はオーラスに戻る。親番の本田がわずか2巡にして最強のイーシャンテンを手に入れる。
聴牌ノーテンで勝又とひっくり返る状況の本田がいきなりのターツ落としスタート。他家からすればいきなり不穏な状況。
そんな中、本田に第一の選択。絵にかいたような何切る問題だ。一般的に受け入れが広いのはアタマを固定して4連形を二つ残す打だが……
本田の選択は。ソウズの下良しと見て、ピンズとマンズの選択はフリテン+ドラ引きで最高形の残るマンズ残しとした。
そしてやってきた第二の選択、このカン聴牌をどうするか。
選択肢は3つ。①カンリーチ②カンダマ③切り聴牌外し。
①カンリーチは手牌変化の恩恵を受けられなくなるものの、誰一人として本田の親リーチに飛び込みたくない状況で意外と一人旅が濃厚になる。和了ればほぼトップ、流局でも一人聴牌なら次局伏せられる。ぶつかり合いになった場合に連対を守る選択肢が取れなくなる。
②カンダマは嬉しい変化の種類こそと少ないが変化待ちができる。また打点は下がるがリーチより出和了り率が高く、勝又からの直撃であればそこそこ嬉しい加点になる。
最悪連対を守る降りも考えられる。
③切り聴牌外しは嬉しい変化の種類が()と一番多い。しかし聴牌ではない。
本田の選択は②カンダマ。
和了れる恩恵は享受しつつ、より強い両面以上の待ちになった時の打点上昇・ツモ率アップを目指した。
チーム雷電全員の思いを詰め込んだこの牌姿。
次巡、本田のツモる手が空中で一瞬止まった。
余りにも痛いツモ。