研ぎ澄まされた刃、その切っ先によく似た本田朋広の横顔【Mリーグ2023-24観戦記 3/19】担当記者 渡邉浩史郎

条件戦でなければ連対に近づく嬉しい和了りである。しかし崩すべき城は風林火山。それこそかつて勝又にやられたように、見逃せるなら見逃したい場面ではあった。

インタビューで本田はこの局面を振り返っていた。

「普段の自分ならリーチ打つんですけど、(風林火山との差を意識しすぎた結果)余計な意識が働いたかなと」

それこそ条件戦でなければ最初の選択は【4ピン】ではなく【4ソウ】になっていたかもしれない。【3ソウ】【6ソウ】聴牌がリーチになり、決着巡目こそ遅くなるが、山に1枚の【3ソウ】の方を引き当てていたかもしれない。

追い上げる本田と逃げながらも攻め手は一切欠かさない勝又。トップ目役あり聴牌からも先制勝機ありとみるや、加点チャンスにつなげていく。

迎えたオーラス、その差は28000程。

つけられた点差を埋めるため、本田はただただ邁進していく。


どこか天真爛漫でお茶目ないつもの本田ではない。

定期的にカメラに抜かれるその表情は、まるで研ぎに研がれた抜き身の刃の切っ先のような、どこか恐ろしくも目の離せない妖艶な美しさを放っていた。

1000オールを挟んで、最後に持ってきたのは山に三枚のこのマンガン聴牌。和了ればいよいよこの半荘のトップが見える。一戦目と同じく、その刃は風林火山に突き付けられた。

しかし最後に意地を見せた堀の倍満の和了りにより、この半荘はゲームセット。

本田の刃は一戦目に続きまたしても、余りにも悔しいその半歩が届かなかった。

インタビューで最後に見せたその悔しそうな表情が、余りに印象的だ。

どこまでも下位チームに立ちはだかる勝又。隙の無い和了りで再び他チームを突き放す。

これで雷電は風林火山との直接対決がなくなった。残り四戦、出来る限りポイントを伸ばしたうえで他チームが落ちてくるのを祈るばかり。

最後まで風林火山が門番として他チームを突き放すのか、それとも……

いよいよ来週には、全てが決まっている。

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