研ぎ澄まされた刃、
その切っ先によく似た
本田の横顔
文・渡邉浩史郎【火曜担当ライター】2024年3月19日
第2試合
東家:勝又健志(EX風林火山)
南家:佐々木寿人(KONAMI麻雀格闘倶楽部)
西家:堀慎吾(KADOKAWAサクラナイツ)
北家:本田朋広(TEAM RAIDEN / 雷電)
本田の刃は研ぎ澄まされていた。
一戦目オーラス、トップを狙える位置にいた本田だったが、最終手番一歩手前で聴牌が入らず。
岡田は伏せてトップの状況のため、この局での終了はほぼ確定。万事休すかと思われたが……
滝沢のツモ切ったにポンの声。一度は止めて手を狭めたを押した。
これは形式聴牌か。いや違う。形式聴牌だけでは岡田と逆転しない。
ただ一点、滝沢の河底牌に狙いを絞った。河底赤ドラならリーチ棒込みで大逆転の和了り。
仮に亜樹からポンして聴牌が取れる牌が出たとしても、本田は聴牌を取らなかっただろう。(海底牌が岡田に回るため)
本田は最後まで前を見続けた。岡田に、そして亜樹にその刃を突きつけ続けたが……
半歩届かず、この半荘は二着ながらもライバルの風林火山はラスに沈んだ。
舞台はいよいよ最終盤。風林火山の着順上昇の確率を上げてでも、雷電はトップを取らなければならない。
一戦目を終えて、その差は220少々。直接対決は今日で最後だ。
一戦目に見せた闘志が故か。二戦目も本田の連闘となった。
今までなら瀬戸熊でも、萩原でも、黒沢でもよかっただろう。
だがこれまでの戦いを経て、「ここ一番、この局面を任せたくなる男」になったのはまちがいなく本田であろう。それは雷電ユニバースも、他チームのファンも認めるところだ。
出てきた相手は正にボスラッシュ。
片割れが二枚切れのシャンポンを曲げて、一発で和了り切る魔王:寿人。
マンガン放銃後も揺るがず動じず、しっかりと和了り切るべき手を和了り切って三者の高打点イーシャンテンを潰す天才:堀。
そして条件戦の鬼にして、見逃しで黒沢からトップをもぎ取った因縁の男。軍師:勝又。
東場に勝又が二回のマンガンを決め、大きなリードを取られてしまう。
追う展開となった本田にここでチャンス手が舞い降りる。
【南1局1本場】、両面三面張のイーシャンテンに引いてきたのは。
当然一番広いのは切り。の三面張が残るうえに、先引きであればイーペーコーがついて跳満級の手になる。しかしここでの本田の結論は……
打。既に打点がある手だが、さらなる打点、三色を追求した。
もちろんただ高いからという理由で打点を追い求めたわけではない。
最高のツモを引き入れて、ヤミテンを選択した。
これなら高めので12000。勝又からの直撃となればそれはもうトップラスを決めかねない大事件だ。この最高形のヤミテンを待っていた。
河にも程よくが切られている。今なら狙えるかもと思われたが……
ここで少し場面は戻る。本田が打とした局面、親の勝又は両面チーして打。ドラ待ちの聴牌を入れていた。
親が河に二枚目のを両面チーしてドラそばの切り。場面には大きな緊張が走る。
これがプレッシャーとなったのは間違いない。
堀から切られたに、本田はロンの声を掛けた。